RIETI - 企業コミュニケーションに、もっとアニメの活用を

 

「RIETI - 企業コミュニケーションに、もっとアニメの活用を」(鷲田 祐一

ファカルティフェロー)がちょっと面白い。

 

「しかし、経済や科学技術だけではなく、幅広く世界人類の生活や文化まで視野を広げれば、「Japan」の存在感は、むしろ戦後の70年余りの中で、じわじわと拡大をし続けていると筆者は考えている。海外の視点で見た「Japan」は、日本人が考える「日本」とは違う姿に見えている。例えば日本の食。「スシ」はもはや世界中に普及し、店舗数だけで見ればハンバーガー店を大幅に上回り、中華料理やピザに並ぶような、当たり前に存在するメニューになっている。あるいは建築。建築家にとってのノーベル賞といわれるプリツカー賞は、毎年のように日本の建築家が受賞したり、受賞候補者に挙がったりしている。世界的な建築に日本の建築家が関わることも非常に多い。あるいはアニメ。日本のアニメを見て育った世代は世界中に広がり、例えば世界的なサッカー選手やバスケットボール選手が『キャプテン翼』や『スラムダンク』を見て育ったと公言しているほどだ。それ以外にも、スポーツや観光などの領域でも、世界一というわけではないものの、極東の小さな島国というレベルを超えた存在感を築きつつある。このように、経済や科学技術以外の領域では、「Japan」はむしろ世界で認められ高く評価される分野が拡大しているように見える。」

 

「このような表現手法は、例えば日本企業の情報発信などにも、もっと応用されるべきだと筆者は考える。企業が考えるさまざまな戦略は、今や日本国内を越えて、世界中の多様なステークホルダーに伝えられる必要がある。しかし言葉の壁の問題は容易ではなく、日本企業のメッセージは往々にして海外のステークホルダーに十分に真意が伝わらない。広報・広告などの活動においても、日本人ばかりが出演している広告表現では世界へのアピールが弱いし、かといって出演者全員が欧米人の作品を作っても、どこかうそくさい。しかし、アニメを使ったコミュニケーションであれば、むしろ日本企業であることが有利に働き、描かれているキャラクターが日本人ばかりであっても共感を獲得することが可能である。企業が考える社会課題解決のテーマも驚くほどすんなりと伝達され理解されるのではないかと筆者は考えている。」

 

 

 

小松 仁