国家vs巨大テック、全面対決へ Apple独禁法違反の疑い - 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

国家vs巨大テック、全面対決へ Apple独禁法違反の疑い」(日本経済新聞)がちょっと面白い。

 

「司法省は東部ニュージャージー州の連邦地方裁判所に訴状を提出した。アップルが外部企業の腕時計型端末との連携のほか、対話アプリや決済の機能も意図的に制限していると問題視。iPhoneから他社スマホへの乗り換えを阻み、消費者に不利益をもたらしていると主張した。

 さらに司法省は「アップルの行為はブラウザー(ネット閲覧ソフト)やニュース購読、自動車関連サービス、位置情報サービスなどにも影響を与えている」と断定。アップルのiPhoneを使ったあらゆるサービスについて、反競争的だと指摘する。」

 

「アップルは徹底抗戦する構えだ。同社は日本経済新聞の取材に対し「この訴訟はアップルの存在と理念を脅かすものになる。事実上も法律上も間違っていると信じており、強く対抗していく」と主張した。21日の米株式市場で、アップルの株価は前日に比べ約4%下落した。」

 

「バイデン政権が巨大テックの膨張を警戒するのは、各社が大きくなりすぎたことへの危機感が背景にある。

 友達との交流からニュースの閲覧、ネット通販、移動時の地図情報まで、いまや各社の製品やサービスは現代社会に欠かせないインフラとなった。世界に普及するアップル端末は22億台、ゲームや音楽の有料サービス利用者は10億人にのぼる。

 「iPhoneの成功で、アップルの純利益は(約15兆円と) 100 カ国以上の各国内総生産(GDP)を上回っている」。ガーランド司法長官が指摘するように、テック各社は国家並みの力を振るうまでになっている。

 トランプ政権を生んだ16年の大統領選では、SNSが世論操作に悪用された経緯もある。このまま野放図にテック各社の事業拡大を許せば、民主主義の根幹を脅かしかねないとみる。」

 

「EUでも規制の包囲網にさらされている。巨大テック企業の活動を制限するデジタル市場法(DMA)の本格運用が7日に始まり、自社に制限していたアプリ配信ストアの外部開放を迫られた。新たな手数料の仕組みに対しては、同じ米国勢のMSやメタなども「法令や法の精神を順守していない」と強く批判している。

 世界トップとされるブランド力で躍進したアップルだが、足元は欧米の規制強化や取引先離れが相次ぎ、四面楚歌となりつつあるのは否めない。今回の訴訟が長引くほど、さらにイノベーションが後手に回るリスクがある。」

 

 

 

小松 仁