MIT Tech Review: 解説:送電の概念を変える「バーチャル発電所」とは何か? (technologyreview.jp)
「MIT Tech Review: 解説:送電の概念を変える「バーチャル発電所」とは何か?」がちょっと面白い。
「再生可能エネルギーやEVの普及に伴い、バーチャル発電所(VPP)が注目されている。従来の一方的な需要と供給の関係を変えるVPPとは何か? 解説する。
通常、電力の需要と供給のバランスは、地元の電力会社によって監督され、運営されている。しかし、バーチャル発電所は、屋上のソーラーパネル、電気自動車(EV)の充電器、スマート給湯器などの分散型エネルギー・リソース・システムであり、これらが連携することで大規模なエネルギーの需要と供給のバランスが取れるようになる。
バーチャル発電所はリソースのポートフォリオを「つなぎ合わせる」方法であり、エネルギー・システムの二酸化炭素排出量を削減しながら、送電網が高いエネルギー需要に対応できるようにしているという。」
「大きな違いの1つは、バーチャル発電所が消費者のエネルギー使用をリアルタイムで調整できることだ。従来の発電所とは異なり、バーチャル発電所は分散型エネルギー・リソースと通信し、送電網運用者がエンドユーザーからの需要を制御できるようになる。
例えば、エアコンと連動するスマート・サーモスタットは、家屋の温度を調整し、エアコンが消費する電力量を管理する。夏の暑い日、サーモスタットは、エアコンの使用量が急増するピーク時間前に家屋を冷やせるようになる。冷却時間をずらすことで、送電網を圧迫して停電を引き起こす可能性のある突然の需要の増加を防げるわけだ。同様に、EVの充電器は、充電のために電力を使用したり、バッテリーの電力を送電網に供給したりすることで、送電網の要求に適応できるようになる。」
「最近まで、バーチャル発電所は主に消費者のエネルギー使用を制御するために使用されていた。しかし、太陽光発電とバッテリー技術が進化したため、電力会社はそれらを利用して、必要に応じて電力を送電網に供給できるようになる。
米エネルギー省は、バーチャル発電所の容量を約30~60ギガワットと推定している。これは全国のピーク電力需要の約4~8%に相当し、システム全体から見るとほんの一部に過ぎない。とはいえ、一部の州や電力会社は、送電網にバーチャル発電所を追加するため急速に動いている。」
「送電網運用者は、年間または毎日の「ピーク負荷」、つまり電力需要が最も高まる瞬間に対応する必要がある。そのため、彼らはガスを使う「ピーカー発電所(尖頭負荷発電所)」の使用に頼ることがよくある。一年のほとんどが休止状態にあり、需要が高いときにのみ切り替えられる発電所だ。バーチャル発電所は送電網のピーカー発電所への依存を軽減できる。
米国エネルギー省は現在、全国のバーチャル発電所の容量を2030年までに80~160ギガワット に拡大することを目指している。これは、(容量が拡大すれば)建設する必要のない化石燃料工場80~160カ所に相当するとカーボンフリー電力に焦点を当てている、ロッキーマウンテン研究所(Rocky Mountain Institute)ブレーム部長は話す。」
「バーチャル発電所のもう1つの重要な利点は、あまり目に見えないものだが、人々がエネルギー・システムにもっと関与するよう促すことだ。通常、顧客は電気を使うだけだ。バーチャル発電所システム内の顧客は、電力を消費し、電力を送電網に戻す。この二重の役割により、送電網に対する理解が深まり、クリーンエネルギーへの移行により多くの投資ができるようになる。」
小松 仁
