「SiC特許分析 中国が急成長、米筆頭はウルフスピード」(日経テックフォーサイト)がちょっと面白い。

 

「半導体を巡る米中対立が深まるなか、次世代パワー半導体の筆頭であるSiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイド)でも両国を中心に競争が激化している。中国は、技術のみならず知的財産(IP)でも日本や欧米を追い上げている。SiCのIPを取り巻く現状と今後について、フランスの調査・コンサルティング会社KnowMade(ノーメイド)が分析した。」

 

「そのことがなぜ重要なのか。数字を要約してみると、中国のプレーヤーは2000年以降、累計で3000件以上の特許を出願している。そのほとんどは、2015年以降のものである。その結果、1100件以上のSiC特許がすでに付与されており、今後15〜20年間、中国のプレーヤーによって執行可能となる。SiC発明に関する特許取得の現在の傾向に従えば、これらの数字は今後も増加すると予想されている。最終的に、中国市場で他国・地域のプレーヤーの参入に対する高い障壁を確立すると思われる。

今のところ、グローバルなIP戦略を持つ中国のプレーヤーは存在しない。中国のプレーヤーは、外国のプレーヤーに挑戦するのではなく、自国における競合他社の活動を抑えることに重点を置いているのである。」

 

「2023年の時点で、ウルフスピードはSiC業界において、そのようなプレーヤーの最も良い例の1つとなっている。この米国の垂直統合型企業は、SiC業界向けのウエハーおよびデバイスの主要なサプライヤーであり、新たな生産能力の増大に向けて50億米ドルを超える投資を行う計画を持つ。また、8インチ(200mm)のSiCウエハーとデバイスを市場に供給できる唯一のプレーヤーでもあり、将来の市場での競争力をより高める可能性を持つ。」

 

「現在の政治・経済情勢において、知財戦略に関しては、我々は単に「最善を期待する」のではなく、「最悪の事態に備える」必要があることが明白になってきている。今回は米国と中国に焦点を合わせたが、EV産業とEV市場にとって最も重要な地域である欧州と日本では、多くのことが起こっているか、あるいはこれから起こる、ということがはっきり見えている。興味深いことに、IPはSiCサプライチェーンの構築と安定化の一部である。トヨタ自動車とデンソーなど、SiCウエハーを社内に供給していないデバイスメーカーは、ライセンス契約を通じてSiCウエハーサプライヤーとの関係を確かなものとするために、SiC基板技術に関連した広範なIPを活用することができるのである。そして、中国と競争する別の切り札はあるのか見てみよう。しかし、1つ確かなことは、SiC技術のイノベーションとIPに取り組むすべてのプレーヤーにとって、今後数年間は非常に忙しいものになるだろう。」

 

ウルフスピードはSiCを巡る米中の技術競争においてIPの中心的なプレーヤーと目されている(出所:ウルフスピード)

 

SiC特許分析 中国が急成長、米筆頭はウルフスピード - 日経テックフォーサイト (nikkei.com)

 

小松 仁