ロンドン在住谷本 真由美さんの「ベネズエラがAIを支えているのはなぜか?」(WirelessWire News)がちょっと面白い。
「HTW Dresdenのデザイン教授であるFlorian A. Schmidt教授の論文によれば、Mighty AI、Playment、Hive、Scaleといった自動運転システムを開発する企業の多くが、ベネズエラの人々に様々な作業を依頼しており、2018年には75%の作業者がベネズエラに在住していたというデータもあるほどです。
なぜベネズエラなのかというと、国家経済が崩壊しインフレが急激に進んだためにかつての中流階級が失業したり生活困難に陥ったため、なんとか食べて行く手段として、海外の企業からクラウドソーシングで仕事を請けているからなのです。
スペイン語が通じ、英語を理解する人も多い上に、教育レベルが高く、通信インフラも存在し、コンピューターの所有率も高いため、理想的なアウトソーシング先です。」
「自動運転システムの開発にあたっては、動画から画像、テキストといったデータにラベルを付けたり振り分ける、精査する等の膨大な作業が発生します。また、重要なのが検索結果の調整といった作業で、精度を上げるために人間による手作業が必要になってきます。
とにかく作業の量が多いため、自動運転のシステム開発企業にだけではなく、AI企業もその多くを自社だけではなく外注企業なども使って処理しているわけです。」
「このような外注は、海外にある子会社や、第三者企業経由の場合もありますし、クラウドソーシングの会社経由の場合もあります。海外に作業を委託する場合は、先進国の労働法が適用されない上に賃金も安く上がります。
さらにクラウドソーシングの場合は、働く人は「個人事業主」となるために、従業員を雇用したことにならず、福利厚生費用や年金を払う必要がありません。
とはいえこれが、第三国の労働者の「搾取」であるとして批判にさらされています。自動運転やAIの案外泥臭い実態です。」
ベネズエラがAIを支えているのはなぜか? – WirelessWire News
IT起業研究所ITInvC代表 小松 仁
