MIT Tech Review「脳インターフェイスで「分速62語」の新記録、自然な会話に近づく」がちょっと面白い。

 

アントニオ・レガラード [Antonio Regalado]

米国版 生物医学担当上級編集者

MITテクノロジーレビューの生物医学担当上級編集者。テクノロジーが医学と生物学の研究をどう変化させるのか、追いかけている。2011年7月にMIT テクノロジーレビューに参画する以前は、ブラジル・サンパウロを拠点に、科学やテクノロジー、ラテンアメリカ政治について、サイエンス(Science)誌などで執筆。2000年から2009年にかけては、ウォール・ストリート・ジャーナル紙で科学記者を務め、後半は海外特派員を務めた。

 

「スタンフォード大学の研究チームが脳インターフェイスで新記録を達成した。言語発話能力を失った人々が、通常の会話とほぼ変わらない速度で「話す」ことが可能になるかもしれない。」

 

「8年前、ある女性が、進行性麻痺を引き起こすALS(筋萎縮性側索硬化症、あるいはルー・ゲーリッグ病)によって言語能力を失った。この患者は、音を出すことならできる。しかし発する言葉は理解可能なものではなく、筆記板やアイパッドにコミュニケーションを頼ることになった。

しかし今、本人が志願して脳インプラント手術を受けた結果、患者はすばやくコミュニケーションを取れるようになっている。「私は家を所有していません」や「それはとにかく大変です」のような表現を、通常の会話に近い速度で伝えられるようになったのだ。」

 

「これが、スタンフォード大学の研究チームが1月中旬、バイオアーカイヴ(bioRxiv)で発表した論文に記されていることである。この研究は、まだ他の研究者による正式な査読はされていない。研究チームによると、「被験者T12」とだけ識別されている実験志願者は、脳を読み取るインプラントを使って1分間に62語のコミュニケーションを達成したという。これは、過去の最高記録の3倍の語数である。」

 

「シェノイ博士のチームが用いている脳コンピューターのインターフェイスは、鋭い電極の小さなパッドを、人の運動皮質(運動に最も関与する脳領域)に埋め込むものである。これにより、研究者は一度に数十のニューロン活動を記録できる。そして、被験者が麻痺を患っていても、その人物が考えている動作を反映したパターンを見つけられるのだ。」

 

「オープンAI(OpenAI)の「GPT-3」のような新しい大規模言語モデルは、エッセイを書き上げたり、質問に答えたりということが可能である。これらを脳インターフェイスに接続すれば、次に何を言おうとしているのか、部分的な情報に基づいて推測する性能が高くなる。そうすれば、このシステムを使う人々はさらに速く話せるようになるかもしれない。「ここ数年の大規模言語モデルの成功から、スピーチ・プロテーゼ(補装具)がもうすぐ実現可能になるのではと思います。発話には、さほど立派なインプットは必要ないでしょうから」とサベス博士は言う。」

 

「イーロン・マスクの脳インターフェイス会社であるニューラリンク(Neuralink)や、スタートアップのパラドロミックス(Paradromics)などいくつかの企業は、数千から数万ものニューロンを一度に記録できる、より新しいインターフェイスを開発したと述べている。」

 

「ニューラリンクのような企業が1000個の電極を脳に埋め込もうと取り組んでいますが、そのタスクが十分な内容で実施されれば、違いが生まれるということを示しているからですとサベス博士は言う。同博士は以前、ニューラリンクで上級研究員として働いていた。」

 

MIT Tech Review: 脳インターフェイスで「分速62語」の新記録、自然な会話に近づく (technologyreview.jp)

 

IT起業研究所ITInvC代表 小松 仁