MIT Tech Review「IPCC報告書執筆者に聞く 気候変動で高まる イノベーションの必然性 」(technologyreview.jp)がちょっと面白い。

 

田中加奈子/KANAKO TANAKA

アセットマネジメントOne 運用本部責任投資グループ シニア・サステナビリティ・サイエンティスト

1999年、東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻を修了。工学博士。英国ティンダル気候変動研究所、日本エネルギー経済研究所、国際エネルギー機関(IEA)、科学技術振興機構、産業技術総合研究所などを経て、2022年からアセットマネジメントOneに所属。IPCC報告書には1999年から参加し、第4次報告書から産業の章の代表執筆者を務める。

 

「人間活動による地球温暖化は『疑う余地がない』。2021年8月、国連の専門家組織は、初めてそう断言した。この報告書のうち、産業分野の取り組みについての執筆を担当したのが、科学者の田中加奈子氏だ。『この10年のイノベーションがカギ』とと話す田中氏に、気候変動の緩和におけるイノベーションの必要性や産業分野の取り組みについて産業界が持つべき視点について尋ねた。」

 

「執筆を担当した田中加奈子氏は、『中でも同報告書『政策決定者向け要約』は、執筆者である科学者と各国政府の代表団がずらりと並んで内容を一言一句確認していくもので、国際交渉ひいては世界全体のさまざまな温暖化に対するムーブメントを、国際レベルで作っていくための礎になる』と報告書の役割を話す。」

 

「今見えていない変化は誰にも分かりませんが、私はこの10年の技術開発とイノベーションがカギだと考えています。テクノロジーは研究室レベルでモノになってから社会で実装されるまでに30年以上かかることも多いです。ですから、2050年に間に合わせるためには、今着手している技術開発やイノベーションが重要になります。そして、そのためには技術開発への投資が不可欠です。」

 

「近年、日本のイノベーション力が少し弱くなってきていると危惧されていますが、たとえば2021年のエネルギー白書によると2010年からの10年間の特許数は、水素、自動車・蓄電池、半導体・情報通信、食料・農林水産の4分野で日本は世界首位です。他の6分野でも世界第2位もしくは第3位で、特許においては世界をリードしている状況ですから、技術移転・支援などによって世界に貢献できるでしょう。ただ技術開発の効果について論じるとき留意しておきたいポイントがあります。それは、フレームワークです。イノベーションの効果はフレームワーク次第で増減して捉えられるのです」

 

「ガラパゴス化という言葉はネガティブに捉えられがちですが、そればかりではありません。隔離されたところで生態系を作ったということは、その場所、気候にも合っていたということ。そうでなければ生き延びることはできません。つまり、その地域で得意なことやその地域の気候風土、伝統、政治、テクノロジー、エネルギー情勢など、いろんなものがあって、その中で一番得意だったり大事だったりすることは、たとえガラパゴスと言われても大切にしていいのではないかと思うのです。ただし、周囲を見ることは必要です。ガラパゴスという言葉に揶揄されることを恐れずに、周りを見つつ、自分たちが得意な『ガラパゴス』を目指してほしい。そこにビジネスチャンスがあると思います」

 

「長年、研究者として政策提言などに貢献してきた田中氏は、2022年に資産運用会社に転じた。『投資の力で未来をはぐくむ』可能性に惹かれたからだという。」

 

MIT Tech Review: IPCC報告書執筆者に聞く 気候変動で高まる イノベーションの必然性 (technologyreview.jp)

 

IT起業研究所ITInvC 代表小松仁