MIT Tech Review「 MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2022年版」 (technologyreview.jp)がちょっと改めて面白い。

 

MITTRが選んだ世界を変える10大技術2022年版

MITテクノロジーレビューの「ブレイクスルー・テクノロジー10」は、今後数年間で世界に最も大きな影響を与えるテクノロジーの進歩を紹介する年次企画だ。医療からエネルギー、デジタル技術まで、2022年の重大技術を紹介する。

 

1.パスワードの終わり

パスワードは何十年も前から、あらゆる場所で、あらゆるものにログオンするための標準的な方法として使われてきた。だが、新しい認証方法が登場したことで、ついにパスワードが不要となる。パスワードの代わりには、電子メールや携帯電話のプッシュ通知、生体認証などが使われるようになるだろう。人間が顔を覚える必要もないし、より簡単かつ安全になる。

 

2.新型コロナウイルス変異株追跡

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、ゲノム解析への前例のない投資をもたらした。世界中に広がったゲノム監視システムによって、科学者は新型コロナウイルスの蔓延を追跡し、新しい変異株をすばやく発見して警告できるようになった。

 

3.送電網向け「長持ち」蓄電池

脱炭素社会の実現へ向けて、再生可能エネルギーへの依存がかつてないほど高まっている。だが、日が沈み、風が止まったらどうなるのか。送電事業者は近い将来直面するであろう課題の解決策を求めている。大規模な「蓄電」だ。安価で豊富に存在する鉄や塩、水を主な材料とする鉄フロー電池は、クリーンエネルギーの無害な貯蔵方法として期待されている。

 

4.タンパク質構造のAI予測

人体の働きには必ずと言っていいほどタンパク質が関わってくる。そしてタンパク質の機能を決めるのは、その三次元構造だ。ディープマインドの「アルファフォールド(AlphaFold)2」は、深層学習AIの手法によって生物学50年来の難問を解決したことで、創薬の新しい道を開いた。

 

5.マラリア・ワクチン

マラリアによって年間60万人以上が死亡しており、その大半が5歳以下の子どもだ。世界保健機関(WHO)が承認した新しいマラリア・ワクチンは、毎年数十万人の命を救う可能性がある。また、人の寄生虫病に対し初めて承認されたワクチンという側面も持つ。

 

6.プルーフ・オブ・ステーク

ビットコインのような暗号通貨は大量のエネルギーを消費する。取引の検証方法に莫大なコンピューティング能力を必要とするためだ。プルーフ・オブ・ステーク(Proof of stake)は、エネルギーをあまり使わずに取引を検証する方法で、イーサリアムは2022年中にこのシステムに移行する予定だ。エネルギー消費量は99%削減されるという。

 

7.新型コロナ飲み薬

ファイザーの新しい飲み薬は、最新の変異株を含む新型コロナウイルスに対して幅広い効果を発揮する。現在、他社も同様の薬を開発しており、ワクチンと組み合わせることで、世界がパンデミックから脱出する切り札となるだろう。

 

8.実用的な核融合炉

無限の可能性を秘めた核融合エネルギーによる発電は、物理学者が長年夢見てきたカーボンフリー技術だ。そして今、ある新興企業が2030年代初頭までに、核融合エネルギーによって生産した電力を送電網に供給することを計画している。新記録を樹立した強力な新しい磁石を使った核融合は、より小型で安価な原子炉の建設を可能にするだろう。

 

9.AIのための合成データ

AIの訓練には膨大な量のデータが必要だ。だが、データが存在しなかったり、現実世界のバイアスを反映していたり、含まれる情報にプライバシーに関する懸念があったりする。こうした問題を回避するために、合成データ(シンセティック・データ)を作成・販売する企業も出始めている。完璧ではないが、AIを訓練するためのより良い方法となるかもしれない。

 

10.二酸化炭素除去工場

温室効果ガスの排出量削減は、気候変動の影響を緩和するための重要なステップだ。だが、国連によれば、それだけでは十分ではないという。壊滅的な温暖化を避けるためには、大気中の二酸化炭素を除去する必要がある。そのための世界最大の二酸化炭素除去工場が、最近アイスランドで始動した。

 

 

MIT Tech Review: MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2022年版 (technologyreview.jp)

 

IT起業研究所ITInvC 代表小松仁