伊佐山 元(WiL 代表)さんが、ANAHD片野坂社長と「マイノリティーが未来を創る」と対談している内容がちょっと面白い。

 

「(片野坂)

マジョリティーが『今が安泰だから、これでいいや』と思っているときに、『大変だけれど、今のうちに国際線に出よう』と言い出すマイノリティーがいたわけです。そして、こうした少数意見を大事にする文化がANAグループにはありました。

 今でこそ、ダイバーシティという言葉があって多様性が重視されますが、結局、数の上ではマジョリティーが勝ってしまう。だけど、マジョリティーの判断が常に正しいとは限らない。マジョリティーは得てして楽をしようとするからです。

 そんな中で、少数派が『でも、将来のことを考えて今からスタートすべきだ』と声を上げる。これが大事だと思っています。実際のところ、国際線に打って出ようと提案したのは国際部と経営管理室の20人くらいの少人数だったと聞いています。そして1986年の国際線定期便の開設以来、2003年度まで国際線は赤字が続くわけですが、歴代の社長で国際線から撤退しようと言った人は一人もいなかった。その判断が、今のANAグループを支えています。」

 

「(伊佐山)

新規事業のために人事制度を改革したということでしょうか。

(片野坂)

どちらかというと、イノベーティブな世界に踏み込んでいくと、会社の人事制度も自然と変わっていくという感じでしょうか。

 2016年、ANAグループの中にイノベーションを推進する『デジタル・デザイン・ラボ』という組織が立ち上がりました。江戸時代の長崎の出島のような、ある種の治外法権的な部署です。最初は3人で、今は20人くらいになっています。ここには、グループ全体から公募で採用された人材も集まっています。この公募というシステムも、自然と立ち上がっていきました。

 このデジタル・デザイン・ラボのメンバーの中には、アバター事業を進めるうちに、会社を卒業して新会社を立ち上げた人もいます。これがANAホールディングス初のスタートアップ企業となり、グループとしてこの新会社に出資も行っています。伊佐山さんと一緒にコンテストをして、ポーラ・オルビスグループさんと宇宙でも使える化粧品の共同開発事業も立ち上がりましたよね。様々な取り組みが進んでいくにつれ、人材異動や登用の方法も変わりつつあります。」

 

「(伊佐山)

動ける人の重要性は、まさに私も感じています。WiLを立ち上げたときに掲げたキャッチフレーズのひとつが『ThinkerからDoerへ』でした。日本の企業には『Thinker』は多いのですが、徹底した現場主義でカスタマーの声を聞ける『Doer』が少ないと感じていたからです。

(片野坂)

 まさに、つい最近私が社員に出したメッセージが『ANAは動く会社だ』という言葉でした。先ほどの話にもつながりますが、ANAは伝統的に、動く会社なんですよね。業界では後発企業だったということもありますが、とにかく実際に動く。

 もちろん、全員が動き回っていたら部屋に誰もいなくなりますから、落ち着いた『Thinker』もいます。しかし、『Thinker一筋』という人は少ない。ずっと考えているばかりではなく、ある時は考え、ある時は動く。キャリアパスでも、それを工夫していかなくてはと思っています。」

 

 

 

 

ANAHD片野坂社長「マイノリティーが未来を創る」:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00345/081800001/?ST=ch_dx&fbclid=IwAR1ctBC2bpXaO3I-slaekybBvuLWWZHMCvzMcP5yjqS6pOuMtpQA0pGtkrk

 

IT起業研究所ITInvC 代表小松仁