MIT Tech Review記事「トランシーバー・アプリ『ゼロ』はなぜ南アフリカで普及したのか」がちょっと面白い。
「音声でやりとりするスマホ向けのトランシーバー・アプリが、地域のコミュニケーション・アプリへと進化を遂げている。自然災害や暴動などの危機的状況下で頼れるアプリとしての地位を固めつつあるようだ。
ゼロはもともと、自然災害時の人々のコミュニケーションや組織化を支援するために作られた。Wi-Fiかモバイルデータ接続があれば、ハリケーンや洪水発生などの緊急時にゼロを使って自分の位置情報を配信したり、災害対応に役立つ情報を共有したり、救助者や生存者とコミュニケーションを取ったりできる。米国では2017年のハリケーン・ハービー( Hurricane Harvey )の救助活動でゼロが大いに活用された。ゼロのラファエル・ヴェリアラス副社長によると、ゼロはハンズフリーでメッセージを送りたいタクシー運転手や救急隊員、配達員などにも利用されているという。ゼロは音声優先型のプラットフォームなので、文字を打ち込むよりもやり取りが迅速で、読み書きのスキルも要らない。」
「しかし、最近の出来事からは、社会情勢が不安定な地域で住民同士を結び付けるために、ゼロが利用される事例が増えていることが伺える。例えば、イスラエルとパレスチナの間で起きた最近の紛争から数時間後、ゼロのダウンロード数は通常の100倍にまで膨れ上がった。またキューバでは、食料と医薬品不足に対する抗議活動の中で、ゼロのダウンロード数が急増した。こうした動向を受け、当然のことながら中国、ベネズエラ、シリアなどいくつかの国ではゼロの使用を禁止した。
米国の911(日本の110、119に相当)のような公的な緊急対応システムがない南アフリカでは、救急車を手配したり近隣のパトロールを取りまとめたりするために、ゼロを利用する人が増えている。」
「南アフリカでのゼロの人気ぶりは、音声が単なる2020年のトレンドではないことの証左でもある。クラブハウス(Clubhouse)やディスコード(Discord)のチャット・ルームは、人々が共通の関心事について話したがるとの考えに基づいて作られており、フェイスブックやツイッターといったプラットフォームもそれぞれライブ・オーディオ機能を積極的にテストしている。しかし、ゼロの一般的な視聴者は、他人と知り合いになるほど長く1つのチャンネルに止まらない。彼らが求めているのは、フィルターされていない生のニュースを迅速に得ることだ。
ゼロのビル・ムーアCEO(最高経営責任者)は、『ゼロには、危機的状況下で頼れるアプリとしての長い歴史があります』と述べる。南アフリカをはじめとするさまざまな地域においては、その『危機的状況』が自然災害に留まらず、ますます広い意味を持つようになっている。」
MIT Tech Review: トランシーバー・アプリ「ゼロ」はなぜ南アフリカで普及したのか (technologyreview.jp)
https://www.technologyreview.jp/s/251509/how-zello-keeps-people-in-the-loop-during-south-africas-unrest/?fbclid=IwAR0wKxzCxMSq-udyzghf3iAqHBJVw5qwujNyOk4TXsnukKT7Wr0pThfYEKE
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
