日経記事「量子暗号通信、コスト10分の1 東大が新方式」が興味深い。

通信に光の波の性質を使い、安価な汎用品で検出しても安全性を実証できる方法を東京大学の小芦雅斗教授らが考案した。通信装置の開発コストを約10分の1にできる見通し。NECと連携し、2025年をメドに実用化をめざすという。

 

量子暗号通信、コスト10分の1 東大が新方式: 日本経済新聞 (nikkei.com)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGG147230U1A110C2000000

 

通常の光通信と同じ検出器を利用し、コストを大幅に下げる=NEC提供

 

・一部の用途で利用が始まった量子暗号通信は、粒子の性質を利用している。盗み見があったかどうかを監視しつつ、暗号を解読する鍵を作るには、一つ一つの光子を、受信側で正確に検出する必要がある。高い感度が求められる上に冷却装置も必要で、検出器が1台あたり100万円以上かかるものもあるという。

 

・光の波の性質を使う方式は、光子の有無の代わりに光の波が振動するタイミングをもとに鍵を作る。測定時に受信した光を増幅できるため、一つ一つの光子を見分ける必要がない。通常の光通信と同じ検出器を利用でき、検出器のコストが数万円程度で済むという。

 

・波の性質を使う方式は原理的には可能でも、安全性を証明できていなかった。小芦教授らは波の性質を使う方式でも、盗み見の痕跡が確実に分かる手法を発見したという。

 

・受信時に光の波が振動するタイミングから得られた数値を特殊な関数を使って処理すると、盗み見された場合だけ起きるエラーの割合を、光の粒子の性質を使った方式と同様に算出できることを突き止めたという。

波の性質を使う方式は、課題だった安全性の懸念が払拭されたことで「世界的に研究が加速される」(小芦教授)。

 

・量子暗号通信はスイスのIDQや中国企業がすでにサービスを始めている。東芝も20年度中に事業化する予定で、2035年度には世界の市場規模は約2兆1000億円になると予測しているらしい。

量子暗号通信は中国が北京―上海間で約2000キロメートルの通信網を構築するなど先行する。

 

IT起業研究所ITInvC代表 小松仁