GAFAやユニコーンが実践、デジタル時代の新成長戦略『ブリッツスケーリング』」で、『Blitzscaling』の共著者Chris Yeh氏の話が面白い。

 

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・大企業が大規模で確立されている理由は、市場に適合する製品やサービスを見つけ、市場規模の拡大に対応してビジネスをスケールアップしてきたからだ。これは簡単なことではない。そして、結果として大企業は効率性とオペレーションの最適化を目指す傾向がある。

 

・新プロダクトの開発や新事業の立ち上げにおいては、スタートアップに大きな利点がある。スタートアップは機敏性と学びに重点を置いているからだ。これは、大企業にもできるはずだ。大企業はスタートアップと同じ戦い方をする必要はなく、大企業なりのやり方で行うことができる。

 

・例えばCiscoのように、革新的なアイデアを思いついた社員に投資し、その社員はCiscoからスピンアウトして起業する。スピンアウトしたスタートアップが成功すればCiscoが買収する。買収額は最大60億ドルになったケースもある。このようにスタートアップを自社のR&D部門と位置づけた戦略でCiscoは成功した。

 

・大企業の問題は、大企業がどうやってスタートアップと協働するか、ということだ。やり方を誤ってスタートアップを潰すようなことがなく、投資したお金を失うことなく、最大の利益を得るためにはどうすべきか。

そのためには、大企業の幹部人材がスタートアップと協働し、真のパートナーシップを築くことが大切だ。これがスタートアップから学ぶ最良の方法でもある。コンサルタントが作った報告書や、四半期に一度行う電話会議に参加するだけではスタートアップを理解することはできない。

 

・資金力があるなら早めにM&Aを提案するべきだ。ただし、Mark Zuckerbergのように、M&Aに否定的な創業者もいる。有名な話だが、彼は、Yahooから5億ドル、Googleからは10億ドルのオファーを受けFacebookの買収を持ちかけられたが、あっさり断っている。

 

・シリコンバレーは今後もスケールアップが最も多く行われる場所であり続けると思う。スタートアップの企業価値を1000万ドルから1億ドルに、さらには1億ドルから10億ドルにスケールアップさせた経験がある人材が、他のどの地域より多くいるからだ。

 

・もちろん、スタートアップはシリコンバレーだけで行われるものではないので、世界中でスケールアップは起きている。なかでも、中国ではスケールアップした成功事例が多く見られ、驚異的な数の中国企業が急成長している。

 

・第2次世界大戦後に日本を成功に導いた要因の1つは、強い改善力だ。「改善」の概念に基づいたトヨタ生産方式のように、継続して段階的な改善を行うやり方が強力なツールとなっていた。

しかし、継続的な改善では業界にイノベーションを起こすことはできない。改善だけが企業を強くする方法ではないし、組織を作る方法も1つではないことを理解する必要がある。

 

IT起業研究所ITInvC代表 小松仁