藤田勉氏(一橋大学大学院経営管理研究科特任教授。元シティグループ証券副会長)による、日経記事「テスラが引っ張る世界のDX相場」が面白い。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63085900W0A820C2000000/

 

 

・2010年代の投資テーマは米国のGAFA(アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)、もしくはこの4社に米マイクロソフトを加えたGAFAMであった。

 

・2020年代の相場のリード役はDXとなるであろう。

相場のけん引役は、GAFAMからDXに徐々に移ろうとしている。時価総額増加額2位はアップル、3位はマイクロソフトだが、フェイスブックは5位、アルファベットは7位とやや差が出始めた。そして、DX企業が上位に食い込みつつある。

 

・DX企業とは、従来型のアナログ産業をデジタル化するリーダーを指す。7月以降に発表された4~6月期決算では、従来型企業とDX企業の業績格差が明確に表れた。これを受けて巨大DX企業の株価が急上昇し、株価指数を大きく押し上げている。

 

・「バブルだ」と言われ続けながら、その業績が本物であることを証明したDX企業が、米テスラである。トヨタ自動車を除く世界の大手自動車メーカーは赤字であったが、テスラは黒字を維持した。とりわけ、電気自動車(EV)普及を目指す中国での販売が、前年同期比2倍に増加した。テスラの自動車販売の23%が中国であった。

 

・大手自動車メーカーは巨大なディーラー網を抱えているため、販売コストが大きい。一方、テスラはオンライン販売なので、コストが低い。基本的に購入後の返品が自由なので、店頭の試乗が不要であり、コロナ感染抑止に対応しやすい。いわば「自動車のアマゾン」なのである。

 

・「テスラがバブルだ」と主張している人が理解すべきなのは、テスラの収益源が自動車そのものではなく、規制クレジット(温暖化排出枠)であるということである。規制クレジット収入は、ガソリン車主体の自動車メーカーがテスラから温暖化ガスの排出枠を購入することで生じる。4~6月期の規制クレジット収入は470億円と、前年同期の約4倍に増えた。コストがほとんどかからないので、この大半は利益になっていると思われる。

 

・テスラ以外の巨大DX企業も、株価が急上昇した。画像半導体処理大手、米エヌビディアの株価は97%上昇し、時価総額は31兆円になった。人工知能(AI)用のデータセンター向け半導体が成長をけん引している。フィンテック企業では、米ペイパル・ホールディングスの株価が77%上昇して、時価総額は25兆円になった。キャッシュレス化が加速したため、スマートフォンを使った決済サービスが成長した。米ネットフリックスは株価が49%上がって時価総額が23兆円に、ウェブ会議システムのZOOMを運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズも株価が3.6倍になり、時価総額は8兆円にまで拡大した。

 

・日本でも、世界に通用するDX企業が大きく成長している。その代表格はソフトバンクグループやソニー、キーエンスである。メルカリ(118%)やエムスリー(80%)、GMOペイメントゲートウェイ(62%)の株価上昇率も大きい。

 

 

エムスリーは医薬品情報サイト「エムスリードットコム」を運営しており、医薬品会社から手数料を受け取る。従来、医師はMRと呼ばれる医薬情報担当者から情報を得ていたが、コロナの影響で同社サイトから情報を得るようになった。中国などのアジアでも医療従事者向けサイトが大きく成長しており、4~6月期の海外売上高は全体の23%に増えた。

 

IT起業研究所ITInvC代表 小松仁