Significant style「日本の株主アクティビズム活性化について考える」の内容が面白い。
https://signifiant.jp/articles/activism-in-japan
朝倉祐介(シニフィアン共同代表)
小林賢治(同上)
村上誠典(同上)
・日本では「物言う株主」と称されることの多い、アクティビストだが、2020年現在、株主アクティビズムを巡る話題を目にする機会も増えてきた。投資家側、企業側の両サイドで、日本における株主アクティビズムはどのように変化してきたのか。
・近年、象徴的な動きがあったのは、オリンパスだ。
オリンパスの創業事業はカメラ事業だが、収益の点で会社を牽引するのは内視鏡ビジネスだ。内視鏡事業という、収益性も高く市場シェアも高い超優良事業を持つ一方で、創業事業であるデジタルカメラを中心とする映像事業が足枷となっており、株主からは切り離すよう強い要望があったが、なかなか切り離せずにいた。
・株主アクティビストとして有名なバリューアクト・キャピタル・マネジメント(バリューアクト)から取締役を受け入れ、事業売却を実現したという事例。バリューアクトは、2018年にオリンパスの株式取得を公表して5%を取得し、大量保有報告を出していた。オリンパスは2019年に、そのバリューアクトから社外取締役を受け入れた。その後、1年以上をかけて、経営体制や事業ポートフォリオの見直しを行い、ようやく事業の売却を実行に移すことができたという経緯だ。
・株主アクティビストというと、強い配当要求をするなど、短期的にイベントドリブン型で動く活動が注目されやすいが、バリューアクトのスタイルは長期的に株式保有し、会社の変革をサポートし、成果を出すスタイルだ。オリンパスの株価は、バリューアクトから社外取締役を受け入れて以来、約2倍になっているから、大きな成果だと言えるだろう。
・バリューアクトから社外取締役を受け入れたのは、オリンパス側にも、戦略的に彼らの意見を取り込もうという意図があったと考えられる。当初は、バリューアクトに対して対立姿勢で臨んだが、彼らからのアドバイスを聞く中で、むしろ彼らをボードに取り込むのが得策である、という判断をしたのではないか。バリューアクトが売却を迫った、というよりも、バリューアクトの取締役も含めて、一緒に議論を深めた結果、売却を決断できた、ということなのではないか。
・アクティビストファンドというと、古いイメージでは、内部留保比率の高い日本企業に対して、溜め込んでいる現金を配当で吐き出せ、または自社株買いをして株主に還元しろ、といった提案を迫るグリーンメーラーのような人々である、という印象が強い。
しかし、バリューアクトのように、経営ボードと建設的な議論を交わすアクティビストファンドの存在感が強まっていると言えるのかもしれない。
・日本でオリンパスに続く株主アクティビズムの事例となりそうなのが、東芝だ。東芝は、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントと3D・オポチュニティ・マスター・ファンドという2社から、取締役選任を求める株主提案を受けた。(2020年7月31日の定時株主総会で否決。本稿の元となるVoicyは2020年7月6日に録音している)
エフィッシモは東芝の筆頭株主で保有率が15.36%と非常に高く(株主総会前の2020年7月30日に一部売却し、保有率は9.91%へ)、さらに取締役も受け入れるとなると、経営ボードに与える緊張感はより高まるだろう。日本でもこういった形で、長期的に経営に参画し変革にコミットするタイプの株主は増えていくのではないだろうか。
・未上場スタートアップへの投資を行うベンチャーキャピタルや、『THE FUND』のように、グロースキャピタルとしてレイトステージのスタートアップに関与する投資家にとっては、経営陣と対話をすることは、本来、当たり前のことだ。
成長を期待して投資しているわけだから、当然、経営陣に対して内部留保を吐き出せ、配当を出せといった要求をするのではない。企業価値・事業価値をどのようにして高めていくかといった観点を軸に、経営陣と対話するわけだ。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
