AI研究の松尾豊東京大学大学院教授が、「事業を立ち上げるのが資本主義の基本」と、日経ビジネスで話しているのが面白い。

 

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00181/080700006/?P=1

 

(写真:山下 裕之)

 

・しっかりと事業の形をつくり、売り上げを確保していたり、ユーザーやクライアントに付加価値を提供したりしているスタートアップは、こうした状況でも伸びていくでしょう。一方で、評価額だけ上がっていて、実際に事業の形ができていないようなスタートアップは苦しくなっていくと思いますね。新型コロナによって振り分けられる時期に来ているのではないでしょうか。

 

・テスラはなんだかわくわくする会社で、株を買うとしたらテスラの株を買いたいなと率直に思います。というのも、CEO(最高経営責任者)のイーロン・マスクが何かもっと大きなことやってくれそうな気がするんですね。

 

・基本的に日本全体のITリテラシーが低い。さらに、日本の構造的な問題、例えば、既得権益の構造とか、変化を嫌う性質があります。だからある部分だけを規制緩和してもあまり意味はありません。

政治家や官僚、経営者もそうですが、現在のテクノロジーやITの世界での動きを理解するレベルを上げないと、正しい判断はできません。それが一番大きな問題としてあると思います。

 

・東大の教員や学生のポテンシャルはすごく高いと思います。日本全体を考えても、人の潜在的能力は高い。スタンフォード大やシンガポール大学でも客員で教えましたが、そこと比較しても東大の学生のポテンシャルはすごいなと思います。

 ただ、社会の中での役割というのができていない。物理や化学など基礎研究はいまだに世界の中でも相当強い。ただ、そうした技術を使って産業を支えたり、社会の変化を後押ししたりということに関しては、世界のトップ大学に比べ、仕組みが十分できておらず、意識も低いと感じます。

 

・民間企業からいただいている寄付の額とか、共同研究の金額は桁違いに小さいですね。それに比べて、スタンフォード大や米ハーバード大学、米マサチューセッツ工科大学(MIT)などには、巨大な大学基金があります。その運用益で大学の経費を賄っています。先日、大学債の発行が緩和されましたが、東大にはそのような仕組みがないので経済的なレベルが低いのです。

 

・育成すべき人材についてどのような指標で見たらいいのか。単純に言うと、大学を卒業した人の生涯年収を上げることではないかと思います。そう言うと「お金の問題じゃない」と怒られそうですので、もっと広い意味での社会へのインパクトとしてもいいと思います。

 

・資本主義社会の中では、自ら事業を立ち上げることが基本だと思っています。ある人が立ち上げた事業が、経済が発展していく中で成長し、大企業が生まれて、その大企業に就職するというのがある種の社会的なステータスになっていたのです。

 今は変化の時代なので、既存の大企業で働くことが必ずしもいい選択肢ではなくなっています。であれば、原点に戻って自分で事業を立ち上げることがとても自然な形だと思うのです。

 

IT起業研究所ITInvC代表 小松仁