WIRED記事「スペースXの『クルードラゴン』、ついに飛行士を乗せて宇宙へ:長く険しかった試験飛行までの道のり」によると、スペースXのカプセル型宇宙船「クルードラゴン」が2人の宇宙飛行士を乗せ、527日(米国時間)に国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられるが、最大の目的はクルードラゴンが有人飛行可能な宇宙船であると証明することだという。

 

https://wired.jp/2020/05/22/how-nasa-certifies-new-spacecraft-safe-enough-for-humans/?fbclid=IwAR3qggvQxeJCPqcAXGq7i5qy0DjVNtnLAFeRgq6a65ttg7UVV9eIpuwRj1I

2018813日に撮影された宇宙船「クルードラゴン(Crew Dragon)」の実物大模型。カリフォルニア州ホーソーンにあるスペースX本社のロケット組立工場にて。DAVID MCNEW/GETTY IMAGES

 

・スペースXのエンジニアたちは5月初旬、宇宙飛行士を安全に帰還させるパラシュートシステムの27回目にして最後の試験を完了させた。モハーヴェ砂漠の上空で実施された試験で4つのパラシュートの開傘が成功したことにより、10年近くに及ぶ厳格な試験と数々の劇的な挫折を経てきたスペースXは、ついに有人試験飛行を開始できることになったようだ。

 

・スペースXのカプセル型宇宙船「クルードラゴン(Crew Dragon)」は、米国製の宇宙船として米航空宇宙局(NASA)から史上5番目の有人飛行の認証を受ける一歩手前にあるという。そして、それを実現させるには、宇宙飛行士2名を軌道上に輸送し、無事に地球へ帰還させるというリスクの高い最終試験に合格する必要があるようだ。

 

・ここ10年ほどのISSへの宇宙飛行士の輸送は、すべてロシアのロケットによって行われてきた。NASAは最後のスペースシャトルが発射されてからわずか1年後にスペースXとボーイングを有人宇宙船開発の委託先に選定し、認証プロセスを開始したが、有人飛行のための宇宙船開発は長い道のりとなってきたらしい。

 

NASAの有人飛行の認証プロセスに見られる極度なまでの厳格さは、NASAの「失敗という選択肢はない」という信念から生まれたものだという。NASA公式の認証文書に記述されているように、有人飛行の認証は単なるプロセスではなく、そこには「各人がその設計と乗員の安全に個人レヴェルの責任を認識するという理念」が込められているようだ。

 

IT起業研究所ITInvC代表 小松仁