総務省技術戦略委員会「新たな情報通信技術戦略の在り⽅ 第4次中間報告書(案) 〜 Beyond 5G時代における新たなICT技術戦略 〜」が5月14日付で発表されているが参考になるかもしれない。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000688034.pdf
・情報通信⽩書(令和元年度版)では、従来の情報化/ICT利活⽤とDX の最⼤の違いとして、従来の情報化/ICT利活⽤では、「既に確⽴された産業を前提に、あくまでもその産業の効率化や価値の向上を実現するものであった」のに対し、DX においては、「その産業のビジネスモデル⾃体を変⾰していくということである」としている。
・我が国においても、新型コロナウイルスの感染拡⼤により、2020年4⽉7⽇ に「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣⾔」が発出されるなど、国⺠の命・⽣活・経済に深刻な影響を与えている。感染を回避するための 外出⾃粛要請等がなされた結果、外出を回避する必要から遠隔診療やテレワー ク、オンライン教育等の導⼊が進み、ICTによる社会変⾰が待ったなしという状況になりつつある。このような状況下では、急増するトラフィックに対応する⾼品質な通信環境が求められるなど、通信インフラ等 ICT の重要性がより⼀層⾼まっている。
・主要国における論⽂数シェア及び Top10%補正論⽂数シェアの推移では、我が国は2000年以降低下を続け、論⽂の量・質ともに主要国をリードできていない状況にあり、基礎研究⼒の衰退が懸念されている。また、産業界においても、国際競争の激化により、研究開発費の多くを短期的研究に振り向けざるを得ず、中⻑期的な研究開発投資が困難な状況にあり、我が国の 研究開発⼒の強化が急務となっている。
・5Gにおける市場シェア等を⾒てみると、グローバルの基地局市場では、⽇本企業のシェアは1〜2%と苦戦が続き、また5G標準規格必須特許の出願件数及び標準化団体 3GPP に提出された寄与⽂書数においても諸外国企業が上位を占めている状況であり、グローバル市場における⽇本企業の競争⼒低下という危機感の下、巻き返しを図る策が求められている。
・令和元年6⽉に策定された「AI戦略2019」では、「⼈間尊重」「多様性」「持続可能」の3つの理念を掲げ、「未来への基盤作り」「産業・社会の基盤作り」「倫理」に関する取組を特定している。「未来への基盤作り」において研究開発に関する取組が掲げられており、AI中核センター群(産業技術総合研究所AIRC、理化学研究所 AIP、NICT AI関連センター)の抜本的改⾰と研究開発ネットワークによってAI研究開発の⽇本型モデルを構築する⽬標等が⽰されている。
・令和2年1⽉に策定された「量⼦技術イノベーション戦略(最終報告)」 では、量⼦技術は将来の経済・社会に変⾰をもたらしかつ安全保障の観点からも重要な基盤技術であり、⽶欧中では研究開発が戦略的に展開されている状況を踏まえ、我が国においても量⼦技術イノベーション創出に向け、⽇本の強みを活かした研究開発や産業化・事業化を促進するとされている。
・2030年代には、サイバー空間とフィジカル空間の⼀体化が更に進展し、フィジカル空間で不測の事態が⽣じた場合でもサイバー空間を通じて国⺠⽣活や経済活動を円滑に維持できるしなやかで強靭な社会が実現するとされており、我が国における⼀層の社会課題解決と経済成⻑だけでなく、⼈類の共通基盤として持続可能な地球環境と国際社会の構築にも⼤きく貢献することが期待されている。こうした社会の実現が期待される中で、我が国が⽬指すべき Beyond 5G の姿を「Beyond 5G 推進戦略」としてとりまとめられる予定である。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
