日経新聞記事「起業家のアイデアと連帯、医療に新風」が面白い。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58770890T00C20A5FF8000/

 

 

・「シュノーケリングのマスクを酸素注入マスクに応用できないだろうか」。イタリアで3Dプリンターを手掛けるイシンノーバのクリスチャン・フラカッシCEO3月、医師からこんな相談を受けたという。

フラカッシ氏率いるチームは即座に市販のシュノーケリングマスクの構造を研究、3Dプリンターで酸素供給チューブとつなぐバルブを作り上げ、マスクをレジャー用から医療用へと変貌させたらしい。

現在、世界中から問い合わせが殺到し、ナイジェリアなど医療体制が脆弱な途上国からも注文が相次ぐという。特許は取得したが、医療機関がすぐ使えるよう設計図や使用法は一般公開しているようだ。

 

・フランス西部ナントでは起業家や医師らが3Dプリンターで廉価な人工呼吸器の製作を進めているという。機器が不足し価格も高い現状を打破するために立ち上がった人々によるプロジェクト「メイクエアー」。

「従来品は1万ユーロ(約120万円)以上だが、1千ユーロに抑える予定だ。新興国でも入手しやすい」。地元の大学病院の医師で発起人の一人、ピエルアントワンヌ・グロー氏はこう語り、電気、機械、デザイン、法制に強い人の協力で「ものすごいスピードで計画が進んだ」という。計画に賛同した200人以上が集まり、ルノーやミシュランなどの大手企業も協力するようだ。試作品もわずか1カ月で完成したらしく、現在は当局の認可待ちの状態で、廉価な人工呼吸器の活躍を心待ちにするという。

 

・旧来の発想にとらわれず、めざましいスピードで新たなものを生み出していく、起業家らのアイデアと連帯が医療に新たな風をふき込んでいくというのは元気づけられる。

 

IT起業研究所ITInvC代表 小松仁