WIRED記事「日本は勃発するAI競争に勝てるのか:アルン・スンドララジャン[ニューヨーク大学経営大学院(スターン・スクール)情報科学・オペレーション科学・経営科学科教]授特別寄稿」の内容が興味深く参考になると思う。
https://wired.jp/2019/09/10/arun-sundararajan/?fbclid=IwAR3_DobSN2U4cfu8cyi11L1JN8s14PcjT7kOwVgFmMGZDpVdGoVkmeMokvs
・米国は長年、AI研究で強さを発揮しており、その優位性は多くの大学やアップル、アマゾン、フェイスブック、グーグル、マイクロソフトといったテックジャイアントが擁する才能によって、ますます強固なものになっている。
・中国政府はモバイル経済の成長で世界を牽引することを国策とし、それがデータの優位性をもたらしている。
テンセント(騰訊控股)やアリババ(阿里巴巴集団)、バイドゥ(百度)、滴滴出行(ディディチューシン)といったeコマースの巨大企業は、数億人に及ぶ消費者の日々の活動を細部まで眺めることができる比類なき力をもち、ニュースのフィルタリングから医療診断まで、集めたデータはAIを利用したアプリにとってディープラーニングを洗練させる糧となっている。
・日本は失業率が2パーセント前後で推移していて、労働需給が世界で最も逼迫している国だ。少子高齢化は今後も続くだろう。だが、オートメーションの時代においては、この不利な条件が最終的に大きなアドヴァンテージとなりうる。日本はこのアドヴァンテージに投資し、まずヘルスケアのオートメーション化で大きな進歩を実現し、さらに他の領域へも拡げていかなければならない。労働のオートメーション化が広がれば、テクノロジー上のアドヴァンテージも増すだろう。
・日本は自動車産業で世界をリードしてきたが、開発の進んでいる自律走行車の分野では優位に立てていない。ゼネラルモーターズ(GM)やフォード、グーグル傘下のウェイモなどがトヨタ自動車やホンダよりも技術的に先を行っている。3Dマッピングなど、すでにリードしている分野での日本政府の支援は継続すべきだ。
・データ格差はとりわけ消費者部門で顕著だ。2000年代半ばに日本の消費者が利用していたNTTドコモなどが提供するサーヴィスは、初期のスマートフォンに先駆けたものだった。しかし、その後のO2O(オンライン・トゥー・オフライン)やプラットフォームサーヴィスの世代になると、中国を筆頭とする世界のメインストリームから日本は後れをとることになった。
・中国やインドと違い、日本は少なくとも一世代の間、国内に活気あるマスマーケットの消費文化が存在していた。それはつまり、新しい消費モデルが出てきても、取り入れるために時間がかかりやすいということだ。
・日本が現在のスマートフォン世代でトップに追いつくのは難しいだろう。それに代わる賢明な国策としては、5G技術を基礎とした次世代の消費者サーヴィスの開発と利用で他国をリードすることだ。5Gインフラの素早い水平展開を政府が積極的に促進すれば、日本が優位を得るうえで大いに役立つだろう。
・日本における近年のスタートアップ企業では、グロービス・キャピタル・パートナーズが投資したメルカリや、AI企業のシナモンなどの成功が刺激となっているものの、米国や中国に比べると成功例がとても少ない。
・日本のビジネスカルチャーを、起業家精神に資するようなかたちで発展させなければならない。活気ある起業家エコシステムの中核にあるのは、イノヴェイションの一部として失敗を容認することだ。実際に米国のヴェンチャーキャピタリストたちは、起業家の過去の失敗は、未来の成功への明るいサインだと考えている。
・ロボット僧侶や魚の自動エサやりシステムといった面白くも文化的にはニッチなテクノロジーから離れて、世界をリードするナラティヴを語るときである。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
