長らく慶應義塾大学で起業家の育成に携わってきた國領二郎教授[SFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)で総合政策学部長、研究所長などを歴任し、現在は慶應義塾常任理事]の話している内容が興味深い。
https://forbesjapan.com/articles/detail/29426
・(起業家にとって大事な3つの素養を挙げるとすれば何でしょう?)
一番大事なのは「楽天的であること」ではないでしょうか。
楽天的と言っても、リスクも何も考えずただがむしゃらに突っ込めということではありません。起業家はビジネスをやっているうちに必ず色んな問題に直面するので、そういう時に問題をむしろチャンスだと捉えられるようなタフさというか。そういう意味での「楽天的」ですね。
また、これは後ほど詳しくお話ししますが、良くも悪くも「現状」は必ず変わるものです。なので現状に満足せず、かつ絶望しない、そんな考え方を持ち続けることが大切だと思います。
・ただそれだけではやはり駄目で、これが2つ目の素養に繋がってくるのですが、「理想を持っていること」は不可欠です。起業家の中で、起業当初に想定した通りの形で事業をずっと続けられている人なんてほとんどいないと思うんですよね。ただ、変化する中でも一本筋を通して「自分はなぜこれをやりたいのか」を貫ける人は、たとえビジネスの形が変わろうともブレない強さを持っています。そのようなブレない理想を持つことが重要だと思います。
・そして最後の3つ目は「貪欲に学習できること」。言い換えれば、どんどん吸収できること、学べることですね。これに関しても、目まぐるしく変わる状況に置かれた時に、たったひとつの凝り固まった見方しかできないと絶対に駄目です。各自のステージに合わせて、常に学びを深めながら経営判断していくことが大事なのではないでしょうか。もちろん、大学で講義を受けるような学習だけではなく、先人たちの言葉を聞いて刺激をもらうことも立派な「学習」です。
・自分の周りに似たような志を持った「仲間の存在」が最も重要なのではないでしょうか。ソフトバンクの孫正義さんのように単独で立ち上げられているように見える方もいますけど、普通はそういう天才的な人間がひとりいるだけでは駄目で、横のつながり、縦のつながりが重要なんです。
・まず「横の仲間」。
たとえば、「プログラマーがいない!」と思った時に、自分の周りで似たようなことをやっている人にプログラマーを紹介してもらったり、難解な法的問題にぶち当たった時に、「同じような問題に直面している人がいるから教えてもらったら?」と助けてもらうことができますよね。これが「横の仲間」です。
・次に、「縦の仲間」。20年間、私も教育者としてその一助になればと思い活動してきましたが、ようやくここ数年になって、名を上げた先輩起業家が後輩を育てる・助ける、というような縦のエコサイクルが回り始めたと感じています。そういった意味で上下のつながりは大切なのですが、これを作り上げるにはとても長い時間が必要です。
・ベンチャーエコシステム作りを意識し始めたときに、「30年かかる」とスタンフォード大の教授に言われたのですが、それから20年が経ちました。いまはまだ道半ば、これからも波乱があるかと思いますが、根気強く向き合っていきたいですね。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
