AIの第一人者である東京大学大学院の松尾豊教授が、NewsPicks Studios CEONewsPicks取締役の佐々木 紀彦さんと対談し話している内容が面白く参考になると思う。

特に、「後進国化研究会」とか作ったらどうかという発想はユニークで興味深い。

 

https://newspicks.com/news/4167480/body/

 

 

・日本と世界の違い

私は、最近ソフトバンクの社外取締役になりましたけど、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」で投資している先の企業の伸び方って“エグい”んですよね。新しいテクノロジーで伸びている世界企業に比べると、日本って時代が変わっている感覚がないというか、のんきです。

グローバルを見ると、伸びている企業って前年比2倍ぐらい伸びて当たり前な感覚なんです。何年も売り上げの伸びが34倍で続いて、気づけば数年で創業時の100倍になっている企業だって普通にあります。

成長に対する意識が日本と世界は違う。日本企業とソフトバンクは違います。ソフトバンクの中にいて心地いいのは、基本的には全ての数字が大きく伸びて当たり前な感覚でビジネスしていることです。

日本企業からするとすごいなって感じかもしれませんが、このこと自体は海外からすると普通。どこにベースを置くかはとても重要です。

 

AIとの融合で伸びる産業論

AI、ディープラーニングを使ってビジネス化するために大事なポイントは何ですか。)

インターネットも多分一緒なんですけども、初期はテクノロジーが引っ張るんです。

テクノロジーをより深く広く知っていることが競争力、勝負の分かれ目になる。ただ、時間がたってくると、どうビジネスと組み合わせることができるかという「掛け算」が重要になってきます。

 

AIビジネスの本質は何かというと「自動化」です。自動化っていうことはその後にアクチュエーションがあるんです。何かの動作をするわけですよね。重大であればあるほど大きなビジネスになります。

例えば、運転とは何かというとハンドルを握ることですよね。ハンドル操作って結構重要で命にかかわります。だから自動運転というのは重要だ。

それから医療の画像診断。診断した結果で治療が変わるわけなので、それって人にとってインパクトが大きい。だからビジネスポテンシャルがある。

 

AIを社内に浸透させるための5ステップ

AI transformation play book」というものがあって、ここには5つのステップが示されています。まず第1は、半年から1年くらいで終わる小さなプロジェクトを手がけて成功体験を得る。

2AIチームの結成。社内に小さくてもいいので専門チームをつくることです。第3が全社にAIの教育を施すこと。そして、第4AI戦略の立案を作ること。そして第5がその取り組みを外に発信していくこと。私の意見としてもこのステップは適切だと思っているので、参考にする価値はあると思います。

 

・「後進国化」の覚悟

テクノロジーがどう社会を変えていくか、を語る前に日本にはもっと大きな問題があると思います。実は、3年くらい前から「後進国化研究会」とか作ったらどうかなあと考えていたんです。

日本が後進国になっていくということです。少子高齢化して、経済が停滞し、活力を失ってくる。そうすると後進国で典型的に起こる現象がたぶん起こり始めるんです。治安が悪くなるとか格差が広がるとか。

それぞれのプレーヤーが短期的な局所的な行動をするあまり、社会全体で大域的な最適解が取れなくなってくるとか。途上国は先進国に移るのでいいんだけど、発展途上国から先進国に変わり、そして後進国化する日本には再び途上国と同じ問題が出てくる。

日本社会がどうなるかっていうと、たぶん日本社会単独で考えることができなくなっていて、やっぱり優秀な人はどこか活躍できる場に行くようになるんですね。残念ながら、国内の大学は途上国の大学と同じような立場になるし、メディアは途上国のメディアと同じようなメディアになるっていう、そういう変化がマクロに起こっていくんだろうなぁと。

 

IT起業研究所ITInvC代表 小松仁