ムーアの法則の終焉とともに米国が半導体チップにおける競争力を失ってしまうことを懸念し、半導体産業の復興をかけ新たなチップ設計・開発手法の発見を目指すとし、軍事関連の基礎研究に資金を提供する米国国防先端研究計画局(DARPA)は2017年、半導体チップの進歩を支援するために「エレクトロニクス復興イニシアチブ(Electronics Resurgence InitiativeERI)」と呼ばれる予算15億ドルの5カ年計画を開始している。
 
MIT Technology Review記事「DARPA has an ambitious $1.5 billion plan to reinvent electronics 『ムーアの法則』終焉で米軍が目指す、半導体の『クラフトビール』革命」(Martin Giles サンフランシスコ支局長)
 
ムーアの法則が限界を迎えれば、新しいアーキテクチャや設計法によってチップ性能が向上しない限り、米軍が依存している電子工学の進化が止まってしまう恐れがあるわけである。
 
ERIの予算は、DARPAがハードウェアに投じる通常年間予算のおよそ4倍にもなるようで、初期のプロジェクトは、ERIで重点的に取り組む3つの分野を反映し、チップの設計、アーキテクチャ、材料とその統合であるという。
 
米国の専門的な醸造家たちが、ビール産業の大企業に並ぶようなイノベーションを起こしたのと同様に、電子工学の分野にクラフトビール革命を起こそうとし、自動化された設計ツールによって、巨大チップメーカーに関与していない小規模企業を鼓舞できないかと考えているらしい。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁