日経BPシリコンバレー支局の中田 敦さんが、AI(人工知能)スタートアップ米Orbital Insight社について紹介している内容が興味深い。
衛星写真をAIによって解析することで、地球上で展開されるさまざまな経済活動、例えば米国の小売業における来客数や自動車の輸出入台数、住宅着工件数、農地開発の動向などの最新状況を割り出すサービスを提供し、政府機関が経済統計として発表する前にいち早く出すデータはヘッジファンドなどの米国の投資家が購入し、株式市場や商品市場での投資判断に活用しているようだ。
原油貯蔵量であれば、世界中にある2万4000個以上の原油タンクの「浮き屋根」に着目しており、原油タンクの屋根は固定式ではなく、原油の上に浮いていて、そのため原油タンクを上から観察すると、石油タンクの壁面の影の大きさから浮き屋根の高さが分かり、そこから原油タンクの残量が分かるという。
原油タンクの影の大きさなどから残量を割り出す画像解析エンジンを機械学習ベースで開発、米DigitalGlobeや欧州Airbus、米Planet Labsなど民間の衛星会社から購入した世界中の衛星写真を分析することで、原油タンクの残量を月次や週次といった高頻度で割り出しているらしい。
衛星写真を使った情報解析は、各国の政府機関が昔から取り組んできたことではあるが、従来は人間の目に多くの分析を頼っていたため、スケール(拡張)することが難しかったのに対し、ディープラーニング(深層学習)をはじめとするAI、画像認識技術の進化によって、民間企業が数百万~数千万件の衛星写真を解析できる時代がやってきた、というのは尤もだと思う。
データの収集や解析に使用するITインフラストラクチャーには『Amazon Web Services』を全面的に採用し、ITインフラに一切投資をせずに、30年分でも衛星写真を保存できるようになったというのはよく理解できる。
なお、最近アビームコンサルティングと提携を発表し、アビームが「ABeamCloud」のラインナップの一つとして、Orbital Insightのサービスを提供するらしい。
さらに、伊藤忠商事とスカパーJSATが、Orbital Insightのサービスの日本での販売代理店契約を結んだと発表している。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
