東京大学大学院松尾豊特任准教授と金井良太アラヤ代表取締役社長による、「AIのグローバルなトレンドと日本企業の現状、これからのビジネスの機会と危機」についての対談の中で、次の一節が特に参考になると思う。
金井:どこか一つの企業が成功事例として出てくれば、後に続くのかもしれませんね。技術としては、どのあたりが応用になるとお考えでしょうか。
松尾:画像認識でしょうね。海外の企業も参入しやすいので、医療画像などはすでにレッド・オーシャン化しています。画像認識よりさらに踏み込んで、「画像認識+ロボティクス、または産業機械」というところをやった方が良いと思います。私の研究室でも2年程前から取り組んでいますが、当時機械系に詳しい研究者はいなかったのですが、無理やり「やれー」と(笑)。
金井:実は、私の会社の内情もそんな感じです。画像認識の技術とディープラーニングの技術を組み合わせてマグロの個体数を数える、ということをやっています。画像認識はずっとやってきたんですが、画像で特殊な対象を差別化するのって難しいじゃないですか。それはビジネスに役に立つので良いのですが、ただ一般的な物体認識だけだと価値を感じてもらえないので、やはり学習を組み込んだロボティクスかな、と思ったりしています。今後競争は激しくなりそうですね。
松尾:結局産業的にも、研究的にもディープラーニングで認識の問題が解決しはじめたら、次は「身体性」が重要だからそこになりますよね。至極当然で、正しい方向だと思います。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
