日経紙記事「特許における論文引用数 日本は阪大首位 英誌、イノベーション力を評価」の内容が興味深く参考になると思う。
 
英科学誌ネイチャーは世界の大学や研究機関が発表した研究成果が特許にどれだけ結びついたかをまとめたランキング 「ネイチャー・インデックス2017 イノベーション・テーブル」を公表したが、1位は米スクリプス研究所で、上位は米国勢が独占し、日本トップは大阪大学(世界31位)だったようだ。
 
米特許調査機関が集めた1億件以上の特許を対象に、大学や研究機関が公表した研究論文などからの引用数を調査、200位までのランキングをまとめたもののようだ。
 
サンディエゴのスクリプス研究所(1位)とニューヨークのロックフェラー大学(2位)が上位を占めており、以下、マサチューセッツ工科大学(3位)、マサチューセッツ大学医学系大学院(4位)、テキサス大学サウスウェスタン医療センター(5位)が続くようだ。
 
イスラエルのワイツマン科学研究所(6位)は、米国以外の機関で唯一、上位10位にランクされ、米国立衛生研究所(7位)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(8位)、スタンフォード大学(9位)という米国の3つの有力学術機関がこれに続き、また、注目すべきことに、10位にはマウントサイナイ医科大学がランクされているという。
 

ちなみに、スクリプス研究所(The Scripps ResearchInstitute 、略称:TSRI)は、アメリカで生物医療科学の研究と教育を行っている非営利の医療研究施設で、本部はカリフォルニア州サンディエゴ、さらにフロリダ州ジュピターに施設を持っているらしい。

 
本研究所は、世界最大の民間の非営利生物医学研究組織で、ノーベル化学賞受賞者のバリー・シャープレス、クルト・ヴュートリッヒを始め、研究や運営に関わる2,700人のスタッフが所属しているようだ。
 
イノベーション・システムをより透明、効率的、公正かつ包括的にするための、自由でオープンな保証された機関The Lensは、次のようなコメントを出しているらしい。
 
「出版された研究と特許の結び付きを世界的な公共財とすることにより、イノベーション・エコシステムにおける学術的な科学の役割のマッピングを始めることができます。これは「innovation cartography(イノベーションの地図作製)」に向けた第一歩であり、複雑な科学技術に基づく問題解決手法(STEPS)を表現できるようになります。これによって科学者、出資者、企業や政策決定者は、パートナーを選択したり、新製品やサービスの実践を社会に提供したりするに当たり、根拠に基づいたより良い意思決定を可能とします。」
 
日本は阪大に続き、理化学研究所が39位、京都大学が53位で、東京大学は95位、国内でも7位だったらしい。
 
東大は発表した論文数は国内で最も多いが、特許につながる研究成果が少なく、下位になったとみられるが、これは知的財産の価値、実業における有為性から気になるところだ。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁