経済産業研究所RIETIの元橋一之 ファカルティフェローが、「サイエンス経済の進展と新しい産学連携のあり方」について論じている内容が興味深く参考になると思う。
日本においても、企業が基礎研究から手を引く状況は、企業著者による科学論文数の低下などに見られるという。
企業を巡る競争環境の激化が、大企業の研究開発は応用開発シフトに影響しているのは明確というのは尤もだと思う。
一方で、画期的なイノベーションのための科学的知見の重要性は高まっており、基礎研究に対するギャップを埋めるために産学連携に対して大きな期待をもっているのは間違いないだろう。
ゲノムサイエンスが医薬品産業の研究開発プロセスを大きく変化させ、また、LSI製造プロセスの微細化にはナノスケールでの物質の物性に関する理解が不可欠となっているし、情報技術の進歩は社会経済に大きなインパクトを与え、ビッグデータ分析はビジネスやマネジメントについてより深い理解をもたらしているなど、最近のイノベーションのトレンドとして、産業のイノベーションプロセスにおいて科学的知識の重要性が高まっているというのは、的を射ていると思う。
産学連携にはさまざまな形態が存在し、大学と企業の共同研究の他、大学への企業研究員の派遣や大学知財のインライセンスも広い意味での連携といえるし、大学などの公的研究成果の商業化(イノベーション)という観点からは、大学発ベンチャーの創出というオプションもある、というのはよく理解できる。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
