WIRED(US)の記事“脳とは「記憶そのもの」だった──「記憶のメカニズム」の詳細が明らかに”の内容が、ちょっと難しく理解しきれないが興味深い。
2017年7月19日付けで『Neuron』誌に掲載された広範な最新のレヴュー論文で、詳細なメカニズムが論じられており、記憶が存在できるのは、脳内の分子、細胞、シナプスが「時間を理解している」からなのだという。
「典型的な記憶とは、過去のある時点で活発だった脳の複数の部位のつながりが、再び活性化することでしかない」というのは、尤もだと思う。
「分子、イオンチャンネルの状態、酵素、転写プログラム、細胞、シナプス、それにニューロンのネットワーク全体をほじくり返してみると、記憶が蓄えられている場所など、脳内のどこにもない」という。
ある体験の記憶とは、詳細な個々の記憶が、長さの異なる複数のタイムウィンドウのなかに存在する、入れ子構造のシステムで、こうしたタイムウィンドウには、ヒトが実際に出来事を知覚するスケールではすくい取れない、分子による情報のやりとりも含めて、記憶を構成するすべてのパーツが収められているという。
このメカニズムを理解するのは、神経科学者であっても極めて難しく、記憶形成のしくみの詳細がわかるには、まだまだ時間がかかるだろうというのは、よく理解できる。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
