シリコンバレーVentureclef代表の宮本和明さんが、「中国で100万人のDNAを解析するプロジェクトが始まる、遺伝子と病気の関係をAIで解明」と伝えている内容が興味深い。
 
中国は遺伝子配列を読み取るだけでなく、その結果をAIで解析しライフサイエンスの分野で世界をリードしようとしている、米国では既にIBMGoogleが取り組んでいる研究テーマであるが中国はこれを大規模に展開するらしい。
 
その先端を走るShenzhen (中国・深圳) に拠点を置くベンチャー企業iCarbonXは、医療データを解析するAIプラットフォームを開発しており、中国において今後5年間で100万人の遺伝子データを収集する計画を明らかにしているという。
 
収集した遺伝子データをAIで解析し病気や健康に関する様々な知見を得るとし、解析結果は専用アプリで消費者にフィードバックされ、健康な生活を送るためのアドバイスが示されるという。
 
iCarbonX2015年にJun Wangにより創設されたが、WangBGI (旧称Beijing Genomics Institute) CEOの職を辞してiCarbonXを立ち上げたようだ。
 
BGIは世界最大規模のDNAシークエンシングセンターで遺伝子配列解明に寄与してきており、今ではライフサイエンスの先端技術を開発しているらしい。
 
米国では既にIBMGoogleが同様な研究を展開しているが、iCarbonXは中国においては遺伝子情報を含む個人データを大規模に低価格で収集できるとし、プライバシー保護に関する規制が緩やかなことがビジネスの優位点となるという。
 
IBMを含む米国のAI企業は遺伝子解析の臨床試験を展開しているが期待していた成果が得られていない、遺伝子変異と病気発症の関係を研究しているが両者の間に強い相関関係を見つけることに苦慮している、
つまり、病気を発症する遺伝子変異を突き止められないでいるという。
 
このためiCarbonXは従来の手法に加え被験者の生体検査を実施し精度の高い情報を得ることを計画しているらしい。
 
Googleのライフサイエンス部門Verilyは健康な人体を定義する「Baseline Project」をスタートし1万人の参加者から個人の身体情報と医療情報を収集するようだ。
 
収集した情報と遺伝子情報をAIで解析し健康な人体を把握する、これに対しiCarbonX100万人規模で実証実験を展開するという。
 
遺伝子配列などデータ量が格段に大きい情報を解析するためにはAIアルゴリズムの教育で大量のデータを必要とする、人口が多く遺伝子情報が使われることに対する抵抗感が柔らかい中国はライフサイエンスで大きく前進することが予想されるというのは、倫理面での懸念を抱かせながら、進んでいくのかと思う。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 

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