特許庁総務部企画調査課の「平成28年度特許出願技術動向調査」の内容が、興味深く参考になると思う。
世界の特許出願件数が年々増加する中、第四次産業革命との繋がりが深く「ConnectedIndustries」の実現に重要となるIoT関連技術については、自動車やヘルスケア関連を中心に特許出願件数が増加しており、さらに、一つの産業分野に閉じたIoT関連技術だけでなく、複数の産業分野にまたがる技術についての特許出願件数も増加しているようだ。
バイオテクノロジー分野においても、近年の革新的な技術開発による、医療分野をはじめとした様々な分野への応用の可能性について、社会的に大きな注目を集めているらしい。
日本は自動車に関するIoT関連技術の出願件数で優位であり、自動車と道路交通システムの両方に関係する技術において他国より早期に出願をしているようだ。
自動車とヘルスケアを繋ぐ技術では、米国からの出願が多数を占めているという。
(1)スマートマニュファクチャリング技術
スマートマニュファクチャリング技術をはじめとする、工場におけるIoT活用には2025年に最大3.7兆ドルの経済効果が期待されており、IoT技術の様々な応用分野の中でも、経済的な効果が最も高いと予測されている。
日本の目指すべき方向性として、次のような点に注目して取り組む必要があると指摘してるのは、的を射ていると思う。
①階層を飛び越えてデータを伝送する技術など、経営層がPDCAサイクルを回すために必要な情報をリアルタイムに効率良く収集する仕組み
① 「人工知能(AI)」などの高度な情報処理技術の活用
(2)クラウドサービス・クラウドビジネス
最大の市場規模を有するSaaS(Software as a Service:クラウドを介し てソフトウェアを提供するサービス形態)での特許出願動向による注目領域は、4つの応用産業分野(①医療・福祉、②運輸業等、③製造業、④電気・ガス等)と、用途・機能ではIoTに関連する機械監視としている。
(3)施設園芸農業
特に日本が強みとする「人工光型植物工場」の特長をいかして、作物の高収率化・高付加価値化を図り、施設園芸農業市場を拡大することが望まれるというのは、よく理解できる。
(4)ゲノム編集及び遺伝子治療関連技術
(5)人工臓器
人工臓器の世界市場は年率8%前後の成長が期待され2019年には約2兆円となる予想であり、 従来の人工材料に代わる生体由来材料を活用した新タイプの市場拡大が見込まれるという。
(6)移動体用カメラ
スマートフォン、自動車、ドローンなどに搭載される、レンズ、イメージセンサなどからなる移動体用カメラ(カメラモジュール、CM)本体の市場は、中国、韓国、台湾のメーカーが シェアを争っているが、一方で、CMのレンズを駆動するボイスコイルモータ(VCM)市場では日本企業が約半分のシェアを占めるなど、CMに搭載される部品については日本が強みを持っているようだ。
(7)電池の試験及び状態検出
電池の状態を検出し、電池の制御を行うバッテリーマネジメントシステム(BMS)は、自動車、携帯機器、再生可能エネルギーシステム(定置用蓄電装置)分野向けを中心に市場拡大が期待されているが、中でも、電動化車両(xEV)向けのBMSは成長率が高く、日本企業が大きな市場シェアを有しているようだ。
(8)ASEAN各国及びインドにおける自動車技術
(9)ファインバブル技術
(10)繊維強化プラスチック
(11)LTE-Advanced及び5Gに向けた移動体無線通信システム
IoT等の新たなユースケース(用途)の進展にともない、次世代移動体無線通信システム5G 関連の低遅延化技術や、端末間通信技術等に関する研究開発が注目を集めているようだ。
(12)次世代動画像符号化技術
(13)GaNパワーデバイス
小型・低消費電力に優れたGaNパワー高周波デバイスは、基地局向けなどに採用が拡大しており、また、GaNパワースイッチングデバイスは高速性能と高効率特性を生かして、通信機器・情報機器用の電源などへの採用が始まり、将来の市場拡大が期待されているようだ。
(14)高効率火力発電・発電用ガスタービン
(15)水処理
ASEANへの特許出願は、膜処理、凝集沈殿、ろ過等の分野で日本の出願件数が多いらしい。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁


