日経オンラインの「10兆円ファンド 孫氏が発明したいもの 知られざるソフトバンク」の内容が興味深く参考になる。
孫正義流投資の特徴は、あくまで投資であり英アーム・ホールディングスのような完全買収は別になるという。
将来有望だと見たベンチャー企業に出資を通じて資本関係をつくるが、孫がより重視するのは「同志的結合」、経営者同士の信頼関係というのは、よく理解できる。
信頼関係を結ぶためには長期間の資本関係が前提となるが、実際ソフトバンクの株式保有期間は平均で13年半に及ぶらしい。
なぜ投資を通じて同志的結合をつくるのか、「300年以上続く企業グループをつくるため」というが、「300年」には、孫が尊敬する坂本龍馬など維新の志士が倒した江戸幕府より長続きする企業をつくるという野望が込められているようだ。
孫がフィールドにする情報産業はとにかく栄枯盛衰が激しく、ひとつの事業に頼り過ぎると時代の変化に取り残される、ならば投資を通じて緩やかな企業群をつくり、次の時代に勝ち残れる事業をつくろうという超長期の生き残り策が「群戦略」であり、そのための打ち出の小づちがサウジとの投資ファンドというのは、よく理解できる。
「孫正義は何を発明したか、チップでもソフトでもハードでもない、たったひとつ挙げるなら300年成長し続ける組織構造を発明した、(後生の人に)そう言われるようになりたい」という言葉は、軽々に聞くべきではないと思う。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
