トランプ大統領は米国に製造業を呼び戻すことを最重点課題として掲げているようだ。
 
自動車メーカーに工場を米国に移転するよう強く求めているが、最新工場はロボットなどで自動化が進み、従業員の数は多くなく、新工場が稼働しても生み出される雇用者数は限られると、Ventureclef代表の宮本和明さんの報告している内容が興味深い。
 
一方、工場が高度に自動化されることで、労働賃金の安い国で製造するメリットも薄らいでいるのは間違いないだろう。
 
発展途上国での生産施設を本国に戻す動きが起こっており、この流れはOff-Shoringに対し「Reshoring」と呼ばれているらしい。
 
トランプ大統領に要請されなくても、米国で製造するメリットが大きい時代になってきたというのも、尤もかもしれない。
 
ロボットで自動化が進むと、米国内での製造コストがメキシコ工場でのコストと大きな違いがなくなるわけで、Teslaはシリコンバレー郊外でクルマを製造するが、工場は高度に自動化されコスト競争力があることを示しているようだ。
 
ロボットなどの自動化技術の進化で最も影響を受けるのは発展途上国で、今後2/3の職が失われるという指摘もあるようだ。
 
産業用ロボットは欧州と日本で開発されているが、強いアメリカを取り戻すためには、ロボット技術を持つことが要件となるのはよく理解できる。
 
トランプ大統領はNew York Timesとのインタビューで、「工場で職を奪うのはロボットでは?」との問いかけに対し、「その通りで、(米国で)ロボット開発を進める必要がある」と答えていたらしく、また、米国に産業用ロボット企業が無いことも認識しており、ロボット産業育成が重要であるとの見解を示しているようだ。
 
Googleは最新のAIを活用し研究開発を加速しているが、ロボットは学習したノウハウを他のロボットと共有、数多くのロボットがReinforcement LearningというAIの手法で学習し、習得した知識はクラウド「Cloud Robotics」に集約され、ここで知識をポリシーに昇華し他のロボットと共有、数多くのロボットが並列で学習することで、技能の習得が格段に早くなるという、「Transfer Learning」と呼ばれる手法が注目されているという。
 
一方、先進技術を生み出すGoogleロボット開発であるが、この事業自体は中止されるとのうわさも絶えないようだ。
 
また、トランプ政権がロボット開発を国策として後押しする可能性もあり、開発が一気に加速するかもしれない、米国ロボット産業が再び花開く兆しを感じるというのは、現地ならではの貴重な情報だろう。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
 
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