経済産業研究所RIETIの中島厚志理事長が、大統領選挙でトランプ氏勝利のキャスティングボードを握った「錆びついた工業地帯」(ラスト・ベルト)での製造業を中心の厳しい雇用情勢があり、それが中国からの輸入増と相関が強いとの実証分析が複数の米国経済学者から出ていると伝えている。
 
チャイナ・ショックとして知られるもので、1990年から2011年の間の中国からの輸入増で米国の雇用が200万人から240万人失われたとする分析結果で、この分析をトランプ大統領も踏まえて行動しているように窺えるという。
 
問題はトランプ大統領が雇用を輸入抑制と移民流入規制の直接的手段で守る姿勢とし、米国の貿易赤字は対中国が最大(米貿易赤字の約5割)だが、続いてドイツ、日本、メキシコ(いずれもほぼ1割)となっており、トランプ大統領が確信犯的に雇用を守る姿勢から見ると、理不尽かどうかに関係なく具体的な貿易不均衡是正を日本に求めてくる可能性が高いと言えるというのは、残念ながら理解できる。
 
今から賃上げなどで消費を高めて内需の成長寄与を高め、外需の落ち込みを少しでも吸収する経済耐性を確保することや、対内直接投資残高のGDP比が世界最下位クラスの日本としては、日本企業の空洞化や輸出抑制といった経済縮小よりは積極的に米企業の対日進出を促すことで経済を極力縮小させない方策、さらにまだまだ多い既得権を排する規制緩和を進めて内外無差別の形で米企業の対日進出を促すことなど提言しているのは的を射ていると思う。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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