ForbsJapanの記事「ハーバードの教科書になった日本人『アストロスケール』岡田光信」が、面白い。
世界各地で事業者が小型衛星を打ち上げる「コンステレーションの時代」で、アストロスケールの岡田光信さんは、シンガポールを拠点に、宇宙ゴミ(スペースデブリ)の解決に挑む企業として世界的に注目を集める人物のようだ。
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)がテキスト化した宇宙ベンチャーは、「ブルーオリジン」を設立したアマゾンのジェフ・ベゾス以来、2人目らしい。
現在、運用中の人工衛星は約1,300基、これまでは大型の人工衛星を打ち上げ、それが東京上空を一日2〜4回通るというイメージだったが、衛星コンステレーションとは一社で数十から数千基の小型衛星を打ち上げて地球をカバーし、常時接続しようというものである。
道路のような細かいルールがないうえ、一定の確率で衛星は故障し、宇宙のゴミとなる、秒速8キロで飛ぶゴミは凶器となり、衝突、破壊、増殖を永遠に繰り返していくことになる。
ユニークなのは、衛星を除去するのに、「とりもち」のように特殊粘着剤で衝撃を緩和しながらゴミを捕獲し、大気圏に落とすことで”焼滅”させるという技術と、岡田さんのアイデアを支えるチームが地方の中小企業や国境を越えた技術者たちに広がる点らしい。
電車を乗り継ぎ、地方の中小企業を訪ねたとき、初老の職人気質の経営者から岡田さんは「あなたに惚れた」と言われて、協力を取り付けたといい、もちろん、岡田さんが「デブリ問題というものがありまして」と、一から説明すると、変人扱いする者もいるが、地方を歩くと、共鳴して力を貸してくれる研究者や経営者はいたのだという話は、我々を元気づけてくれる。
こうして日本が得意とする技術が集結し、「スペース・スウィーパーズ(宇宙の掃除屋たち)」なるチームが結成されたという。
「アストロスケール」は、15年に最初の資金調達に成功し、工場を建てたらしく、毎日、世界中の若い人々から履歴書が届くが、全員を雇えないのが悔しいと岡田さんは言っているようだ。
履歴書を送ってくる人々の多くは、「政府がやらないのなら、俺がやる」と言っているというのも頼もしい。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
