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複数の都市を全て回る最短経路を求める「巡回セールスマン問題」など、膨大な数の組み合わせの中から、与えられた条件を満たす最適な解を見つける最適化問題に有効とする、室温で動作するCMOSチップベースの技術を日立製作所が発表したのは、興味深い。

D-Wave量子コンピュータが採用した量子アニーリングの手法では、超伝導回路のスピン(回路を流れる電流が作り出す極小の磁石)同士が互いに力を及ぼす「イジングモデル」と呼ばれる物理状態へと写像(マッピング)し、問題の条件に合わせて、近接する超伝導回路のスピン間相互作用(Jij)の強さを設定、この状態で、回路に強い横地場をかけてスピン(σi)の向きを一方向にそろえた上で、徐々に磁場を緩めていき、磁場ゼロの環境で、もっとエネルギーが低い安定状態になったスピンの向きを読み取ることで、組み合わせ最適化問題の解を知ることができるらしい。

日立製作所が超伝導回路の代わりに使うのが、1ビットのメモリー(SRAM)で、このメモリーの0、1の値をスピンの向き(例えば上向き、下向き)に見立て、隣接するスピンの値と、スピン間相互作用の値をアナログ演算回路で掛けあわせ、その相互作用に応じてスピンの向きを変え、この演算を繰り返すことで、全体のスピン状態が安定状態に近づくとしている。

室温で動作するCMOSチップを使えるため、チップを極低温に冷やす必要がある量子コンピュータと比べ、コンピュータを大幅に小型化・省電力化できるという。

D-Wave量子コンピュータに対して、「本当に従来型コンピュータより高速なのか」「本当に量子効果が現れているのか」といった点で、現段階で専門家の評価が定まったとはいえないらしく、今回の日立製作所が開発したシステムが将来実用化できるものか、やはり検証するのは難しいようだが、今後に期待していきたい。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/022000173/?mln