
中村教授の事例では、在職していた日亜化学工業からの発明報酬は2万円、学会で「SLAVE」(奴隷)のあだ名が付いた中村氏は裁判を起こし、第一審の東京地裁が特許の対価として、日亜化学に200億円を支払うよう04年に命令して、「中村ショック」という言葉が生まれたが、結局控訴審で和解が成立し、最終的に中村さんが手にしたのは8億4千万円だった訳である。
現在の見直しは、特許を申請する権利を最初から会社側に帰属させようというもので、当然ながら、強く求めているのは経済界で、職務発明は会社の意思に基づく投資とリスクテイキングの産物であり、賃金が支払われる労働の成果物であることから、その権利は原始的に(=最初から)法人帰属とするのが至当としている。
法人帰属は社員から権利を取り上げる弱いものいじめといった反対論も根強い一方、製薬業界のように、実際に新薬としてモノになるのはごくわずかでほとんどの研究は事業化できずに終わる投資リスクの面も非常に大きいだろう。
発明者個人が、自分の技術に自信がある場合は、大企業から飛び出して自分のリスクで起業するというのが一つの道であることは単純で明快である。
一方、企業内に留まる場合、すごいイノベーションを生み出せば、それにふさわしいリスペクトや「研究費を潤沢に使える」といった処遇を受けられるというのも現実的な解決案に思える。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78241820Q4A011C1000000/?df=2