TechCrunch誌が、MITMartin Trust起業家センター責任者Bill Aulet氏の「スタートアップが陥るIKEA効果の罠―MVPセオリーに固執するのは危険だ」という寄稿を紹介しているが興味深い内容となっている。
 
IKEA効果とは、スウェーデンの組み立て式家具のメーカーにちなんでいるが、何かを自分で作るや否や、評価モードから擁護者モードに入ってしまい、客観的な基準に基づく判断ができなくなる傾向があることをさしている。
 
「資金が尽きる前にテクノロジーに惚れ込んだ大企業に買収される」というExit戦略がスタートアップ設立の目的なら別だが、そうでなければテクノロジーに執着してプロダクトを作るのをひとまず措いて、ユーザーと虚心坦懐に会話して本当のニーズを探らなければならないというのは、実に的を得ていると思う。
 
できるだけ速く実際に動くプロダクトを作ってしまうという「実用最小限のプロダクト」(MVP=Minimum Viable Product)手法のメンタリティは、プロダクト・デザインにおいてもっとも重要なユーザー中心主義を忘れさせる危険性があるという指摘は尤もだろう。
 
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Tech-on誌記事で、元・日経エレクトロニクス編集長、技術ジャーナリストの西村吉雄氏が、日本の半導体メーカーは、設計(ファブレス)と製造(ファウンドリ)の分業を嫌い、両者を統合した事業形態(IDMintegrated device manufacturer)に最近まで固執し続けたことが、日本半導体産業の衰退の一因と論じている内容は、説得力がある。
 
また、集積回路における設計と製造の関係は、雑誌の編集と印刷の関係に、よく似ているというのも興味深い。
 
本や雑誌の編集者(=設計者)の最大の仕事は、「読者が何を読みたがっているか」を探り当てることにあり、一方、印刷(=本や雑誌の製造)は装置産業であり、大部数の印刷には輪転機が必要でそのための投資金額は大きく、印刷における最大のコスト要因は装置(印刷機)の減価償却となる。
 
日本の半導体メーカーが設計と製造の分業に消極的だった理由の一つに、減価償却コストへの意識の低さがあり、さらに「売り上げと同相の投資、売り上げと逆相の償却負担」という構図を招いた要因として、総合電機メーカーが、そのなかの1事業として半導体製品を製造販売するという事業構造にあったという指摘も的を得ていると思う。
 
フェイスブックが、設立からわずか5年、社員50人あまりのチャットアプリの運営会社ワッツアップを190億ドルつぎ込んで買収する件を、改めて日経紙がレポートしている内容が興味深い。
 
現在のユーザーは4億5000万人、昨年2倍に増えて現在も1日あたり100万人のペースで増加し、今後数年で10億人に到達すると言われているようで、「ユーザーが10億人に達するサービスはめったになく、価値は非常に高い」と、ザッカーバーグCEOが評価している模様である。
 
量子ドット技術は、日経エレクトロニクス最新号の関連記事にあるように、当面液晶ディスプレーのバックライト用途で製品化された後、曲げられる照明や自発光ディスプレー用途への応用、二次電池への展開などこれからが楽しみな技術と言えるだろう。