大前研一さんが、TPPに関連し、米国で発生したBSE問題を引きながら日本が1つの事例に過剰に反応しすぎることがより重要だと思うとしているのは、よく理解できる。TPPでは「海外に資金を投じていく」という考え方が重要としているのも、もっともだと思う。
小泉純一郎元首相が視察してきたフィンランドの核廃棄物最終処理処分場「オンカロ」は、いわゆる「地層処分」で、原発の使用済み核燃料を10万年の間、地中深く保管し、無害になるまで置いておくものらしい。「こんな処理方法しかないゴミ」である使用済み核燃料は、すでに膨大な量が存在している点を、田原総一朗さんが指摘しているのは、的を得ていると思う。
ところで、先日(社)ESCO推進協議会他主催の「ESCOコンファレンス」で寺島実郎さんの基調講演「世界のエネルギー構造の変化と日本の進路」があり、下記ポイントの紹介が興味深かった。
特に、原子力分野での日米連携は産業構造的に非常に強くなっており、廃炉まで含め、日本の自由度が事実上極めて制限されそうな状況にあるようだ。
『寺島実郎の時代認識と提言』 資料集2013年 秋号改訂版
●油価が相対的に高くなりすぎていることのインパクト → 石炭シフト
世界の一次エネルギー供給において石炭が石油を上回る傾向:
中国は元を安く維持しているため原油高騰が荷重負担となり石炭シフト加速。
欧州も安い米国の石炭購入加速。
途上国苦しめる原油高。
●湾岸産油国(カタール、ドバイ/UAE,サウジアラビア)の繁栄と安定(「中東唯一の安全地帯」とされる位置づけ)は米国の中東での基本戦略を象徴=中東に過剰に関与しなくてもよくなった米国。
(シェールガス・シェールオイル革命の結果)
米国は、周辺産油国(イラク他)の戦争で3兆ドルの戦費と自国の若者約6,600人を犠牲にしてきている。
●3.11後の日本のエネルギー戦略の模索(日本と中東との新たな位置関係)。
技術を持った先進国としてのバランスのとれたベストミックス。
世界のエネルギー情勢を安価に安定化させることが日本の国益。
日本は極端に高いエネルギーコストに耐えて生きる国へ。
(産業用電力料金(IEAベース)は、米国の3倍、フランスの2倍、ドイツの1.5倍)
「覇権なき中東」における日本独自のプレゼンスの大切さ:
中東に対する領土的野心も武力介入も武器輸出もなき唯一の先進国。
●重く存在する「日米原子力共同体」というべき構造
スリーマイル事故から33年間で、原子力産業は再編・集約化。
2006年10月東芝がWHを買収。
2007年7月日立・GEが原子力分野再編。
2007年9月仏アレバ社と三菱重工が中型原子炉共同開発合弁会社設立。
●米国にとって、国内外の原子力プロジェクトに関して日本は「不可欠のパーナー」であり、日本企業が世界の原子力プラント産業の中核主体であることの事実認識重要。
米国との利害調整なしに原子力政策は進まない構造。
●オバマ政権のエネルギー政策:「グリーン・ニューディール」から“All of the above”戦略へ
(RE+天然ガス+原子力+クリーン・コール)
米国で33年間新設の無かった原子力で、昨年新設案件4件承認、現況はほぼ計画通り進捗。
●米国の原子力発電は「現在103基で電源供給の19%、稼働率90%」を維持しており、軍事利用・平和利用を合わせた原子力分野での世界での指導力(ガヴァナンス)を失わないためにも、米国はこの分野での指導力に強いこだわりを抱く。
