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ビジネスの創業には千差万別ともいえるいろいろな形があるだろうが、やはりいずれもそれなりに時間とプロセスを踏まえていると思う。

前回も触れたTechCrunch Disruptカンファレンスは、起業家たちを鼓舞するために毎年開かれるもので、テクノロジー企業のトップ(今年は、ヤフーのマリッサ・メイヤー、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ、ツイッターのディック・コステロなど)や、著名なベンチャー・キャピタリストらが登場したとジャーナリスト瀧口範子さんが伝えている。

新興企業に技術やビジネスモデルを競わせて審査員に投票してもらい、優勝した企業に賞金5万ドルを出すスタートアップ・バトルに、ファイナリストの1社として、Ossiaという新興企業が開発した、電線なしにワイヤレスで送電しスマートフォンやコンピュータを充電する空中送電技術が紹介されたらしい。

送電には、磁場やマイクロ波などを利用するのではなく、ラジオ波を用いて個々のデバイスに対応するため、空中送電は人体にとって危険とされてきた通念は無関係ということらしい。

6年かかけて開発されてきたテクノロジーで、2015年には製品として発売する見通しで、製品化された際の価格は100ドル程度を見込んでいるという。

既に非接触型の充電装置が電気バスなど産業用には用いられているようであるが、瀧口さんも言うように、消費者向けにこんなテクノロジーが製品として出てくれば、インパクトはかなり大きくなるのは間違いないと思う。

また、ビジネス創業という面で、瀧口さんが紹介している、サンフランシスコの人気のアイスクリーム・ショップ、スミッテン・アイスクリーム創業者ロビン・スー・フィッシャーさんの創業経緯は興味深い。

彼女は、小さい頃からアイスクリーム好きで、いつかアイスクリーム・ビジネスを始めたいと思っていたらしいが、一般のアイスクリームの原材料が「ナチュラル」と謳われていても、実際には安定剤や乳化剤、保存料、合成フレーバーなど、いろいろな化学合成材料が含まれていることなどを知り、スタンフォード大学のビジネススクールに通い、ペンシルバニア大学でアイスクリームのクラスも取って、着々と準備を進めていったらしい。

大学では2年間アイスクリーム・マシーンの試作を続け、部品は中古のものを調達し、エンジニアの助けも借りて、最高のスムーズさを備えたアイスクリームが作れるようになるまで、実験を続けた上、
液体ナイトロジェンの冷却機能を統合したマシーン「ケルビン」を手押し車に載せて、サンフランシスコの路上で手作りアイスクリームを売り始めたという。

露天商として9カ月ほど続けたらしいが、材料には、新鮮なミルクや果物など最高のものを選び、それを混ぜ合わせたミックスを、注文に従ってひとつひとつケルビンが凍らせる、新奇さとおいしさが口コミで人気を呼び、フィッシャーの赤い手押し車の前には行列ができるようになったという。

若い女性が手押し車を引き、超科学的アプローチによって開発されたマシーンで、最高にスムーズなアイスクリームをその場で作ってくれるというすべての要素が、スミッテン・アイスクリームのブランドとして強烈な印象を与えたことは間違いないのだろう。

現在、毎月2万食を売り上げている上、第2、第3店舗をサンフランシスコとシリコンバレー地域に開店する予定という。

「起業家になるといくつもの役割をこなさなければならないけれども、大好きなアイスクリームを最高の味にしたいという夢は変わらない、ひとつのことに懸命に集中する、それが成功への道」とフィッシャーが述懐しているのは、まさにその通りと思う。