
さらに、世界の技術開発をリードするとともに、企業社会や官公庁においてクラウド化、オープンデータ化(官を含めた情報公開)を迅速に進める米国や北欧などと比較して、我が国での情報利用の立ち遅れが目立っている点、および公的機関内の記録、電力の利用、診療や検診などの情報は、非常に限られた形でしか利用されておらず、総じて官に近い分野ほど情報の利活用が進んでいない点を指摘している。
この埋没現象の背景には、3つの「壁」が存在しているとし、(1)技術及び人材の不足(2)情報を有効に生かすビジネスモデルの企画構想力の不足(3)情報の利活用を進めるための社会システムの不足を挙げているのは尤もであると思う。
特に、2番目の壁について、情報の人手や蓄積のコストが下がったとはいえ、分析を含めたコストは依然として大きいことを認識する必要があり、情報の分析と活用が付加価値を生むことで、情報収集や分析システムを維持するための資金が流入するとともに、一層の情報蓄積を促すといった好循環を生み出すビジネスモデルが必要としており、例えば代表例のグーグルのようなモデルが次々と生まれる環境にはない原因の1つは、分析をする側が、市場ニーズや解決すべき社会課題を的確に把握できていないことにあるとしているのは興味深い。
具体的対処として、米オバマ政権がITの利活用において取り残されていた巨大市場の医療とエネルギー分野に焦点を絞り、国家としての強い意思を示しながら、ITをテコに構造改革を一気に進めようとしたアプローチとスピード感を取り上げているのは参考になると思う。
ところで、宋文洲さんが、「蛇足」という表現(中国では四文字成語の「描蛇添足」)に関連し、もともとひた向きで堅実に経営していたベンチャー仲間が、ベンチャーキャピタルから大金をもらうと急に余計な設備を導入し、余計な事業に乗り出した結果、会社が傾いた実例は多く、人はなぜ余計なことをするのか、余裕が無い時に決してしないような合理性にかけた行為をする唯一の理由は、余裕があるからであり、足りない状態から急に余る状態になった時、人間は容易に非合理的な行動を起こすと論じているのは、非常に興味深く、上の集中化とスピード感にも関連し役にたつと思う。
サンフランシスコで開催中のTechCrunch Disruptカンファレンスで、Facebookのファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が、IPO後最初の一年、ひどい思いをしたことがFacebookをうんと強くした、必要に迫られて自分の会社についてあらゆる細部まで知るようになった、これでFacebookは新たなレベルに上ることができた、経営状態は今やずっとよくなったとし、TwitterのIPOにエールを送っているのは、スピード感にからめ、経営上の観点から大変面白い。