
本命とみなされるアップルが、通称iWatchを2014年後半に149ドルから229ドルで発売するだろうという予測もでており、日本勢ではSonyが自社開発を続け2008年にBluetoothウォッチを発売、後継のSony Smartwatchにも近く後続機種SW2が出る予定とされている。
ところで、アップルとサムスンの特許紛争が盛んに報道される中、アップルに匹敵する技術を保有する企業として改めてサムスンの知名度がアップしてきたように感じる。
福田民郎 京都工芸繊維大学 名誉教授が、経済産業研究所RIETIのBBL(Brown Bag Lunch Seminar Series)で、「デザイン経営の実際 ―サムスン電子の成功事例から―」と題して話している内容が非常に興味深い。
・1990年代初頭から10年間に凄まじい改革を成し遂げ、現在の地位を築いている。
・特に企業文化の変革とソフトやデザインに関する様々な取組みや試行錯誤を中心に行われた。
中でもいわゆるデザイン経営(デザインマネージメント)の活動では、その内容は日本の多くの家電企業と大きく違っている。
イノベーションの思想や製品開発プロセスの中心にデザイン思考を置いたこと、デザインセンターが中心になってプロジェクトを牽引したことがサムスンの最大の成功要因といえる。
これらは日本の家電企業では決して見ることが出来なかった潮流で、現在の彼我の差はその考え方や手法にあると考えられる。
・企業がデザインの思想として何を中心に置くかが勝負の分かれ目となる。
90年代のサムスン電子はコンセプトを中心に置き、理由や意味のない形をスタイリングしないよう厳しく教育している。
・米国のデザイン事務所では、デザインを大学などで勉強した人材は5割以下だった。
あとの5割は、エンジニア、文化人類学者、社会学者、MBA、電気系、ソフトウェアデザイナーなど、多岐にわたっている。
米国では、大企業がすべて自前でモノづくりをしなくなり、企画からモノづくりまでの総合的な提案力が外部のデザイン事務所に求められ、それが米国のデザイン事務所の強さにつながっている。
・ものをつくる最初の段階から、商品企画、マーケッター、MBA、材料、エンジニア、電気、金型、CADといった専門家とスタイリングをするデザイナーが組み合わさったチームが一番強い。
現在、サムスンは、それをプロジェクト方式でどんどん進めている。
・新商品開発に関しては、李会長自らが頻繁に製品をチェックし、短期間でのやり直しを命じている。
日本では、かつて松下幸之助氏が市場に出す前の製品をチェックしていたという。
Sonyでも、大賀氏が最後のフィルターとして製品をチェックしていた頃は、Sonyブランドが非常に強かった時期である。
・アップルにはスティーブ・ジョブズというカリスマ経営者のリーダーシップがあったわけで、「サムスンだからできた」というオリジナリティが次の課題でフォロワーとしての自覚があり、そこからいかに脱却するかを必死に考えている段階である。
ジョブズ氏の死後、アップルの製品完成度が、例のマップ騒動を見ても、一寸おかしくなっていると感じるのもしようがないのだろうか。