
中国戦国時代初期、古代中国の軍の一大変革期に楚の宰相を務めた呉起という人の言を集めたとされる「呉氏」は、兵法書の最高峰「五経七書」のうちの一冊であるが、その中に、「しばしば勝ちて天下を得る者は稀に、もって亡ぶる者はおおし」という一節がある。
しばしば勝って天下を取った者は少なく、かえって滅亡した者が多いというのは何故か。
守屋氏の解説によると、以下のようである。
「天下の強国の中で、五度も勝利を収めた者は、破滅を免れない。
四度勝利を収めた者は、疲弊する。
三度勝利を収めた者は、覇者となる。
二度勝利を収めた者は、王となる。
たった一度の勝利で事態を収拾した者こそが帝となりうるのだ。」
勝ち続けようとすれば、どうしても無理をし、無理は長続きしない、いつか必ず破綻が生じるだろう。
相手だって負けたくはないから、必死に反撃してくる結果、いっそう摩擦が激しくなり、そういう中を勝ち残ろうとすれば、こちらの消耗も一段と大きくなる。
ではどうしたらよいのか。
守屋氏は、一つは無用な戦いを極力避ける、特にビジネスにおいては、持ちつ持たれつ、共存共栄策を優先させること、もう一つは、負けない戦いをめざし、相手を生かし、こちらも生き残る、今でいうWin-Win、の2点をあげているのは面白い。
グローバルな環境の中でサバイバルに追われる中、難しいような気もするが、一段高い視点から戦況を眺め戦略を練るのが重要だと改めて感じる。