イメージ 1

何かと話題になっているGoogle Glassは、ポケットから携帯を取り出さなくてもTwitterでも何でもチェックできるなど色々用途の可能性があるようだが、警官や消防士や救急隊員など、犯罪や事故や災害などの現場の公務員たちが、リアルタイムビデオで現場の状況をストリーミングしたり、重要な文書(ビルの図面、被害者の医療記録など)を送ってもらって見たり、現場の監視・防犯カメラの画像を見たりなどへの適用アプリ例を米Techcrunchが伝えている。

Google Glassで懸念されるセキュリティ面も、機器のコントロールは最初から最後まで警官等の公務員の手中にあるので保全されるようであり、また、このアプリの提供元Mutualinkは、NATOの特殊部隊や、合衆国の国土安全保障省、警察庁、消防庁などにサービスを提供しているところらしく、すでにビジネス基盤を確保しているといえる。

Google Glassも、最初はこのようなニッチなアプリから浸透していくのかもしれない。

また、Google Glass同様のメガネ型ウェアラブル・デバイス「Telepahy One」を開発するテレパシーが、Firsthand Technology Value FundのシリーズAラウンドで500万ドル(約5億円)の資金を調達したとTechcrunchが伝えているのも面白い。

超小型のプロジェクタによる映像が目の前に見え、ディスプレイが視野の一部に浮かんでいるように見えるらしく、ここに通信中の相手のカメラが捉えた映像が見える、つまりTelepathy Oneは「見ているものの共有」をするためのデバイスの位置づけのようである。

Telepathy Oneは、少なくともリリース当初は限られたサードパーティしかアプリを開発できないようであり、現在テレパシーを率いている井口尊仁氏は、こういった新しいデバイスが広まるのは「一点突破」によるのだと汎用指向を切り捨てる意向を示しているのも興味深い。

また、米国のベンチャー企業Woodman Labs社の「GoPro」シリーズが新たに開拓したアクション・カメラという、主にサーフィンや自転車、スキー、スノーボードといったアウトドア・スポーツで映像や写真を撮影することを想定して開発された小型軽量のカメラは、極めてシンプルで、基本的な機能は、170度程度の広角レンズで動画や写真を撮影できること、多くの機種は、デジタル・カメラでは当たり前の液晶モニターですら標準では備えていない。

このアクション・カメラは売れ続けているようで、米調査会社のIDCによれば、2012年に世界でのビデオ・カメラに占める出荷台数の比率は約2割に達し、2013年には比率がさらに高まり、約4割に到達すると同社は予測しているらしい。

日本のカメラメーカーが、苦心して開発した“便利な”機能満載の製品ではなく、そのほとんどを省いた“不便”であるはずの製品に消費者が飛び付いているというのは、極めて意味深いが、アクション・カメラを用いたこれまでになかった視点の画像が、ソーシャル・メディアの普及と相まって「面白さ」「驚き」といった愛好者同士の共感を醸成する原動力になっているのは間違いないだろう。

映像のプロである放送業界がテレビ番組の撮影でアクション・カメラを本格的に採用しているらしく、この手軽さが本物であることを裏付けているようである。

大量生産、大量消費を前提にした「万人に使いやすい機器」を目指して機能拡張に腐心する技術開発だけが、ヒット商品の称号を獲得する一本道ではなく、当初は多少の使いにくさがあったとしても、それを克服していく過程すらユーザーにとっての面白さに変え、その結果として小さなコミュニティーの熱狂を伝搬の原動力にしていったブランドほど強いものはないだろう。

在米ベンチャキャピタリスト伊佐山元さんも、ベンチャーの技術や経営者に一目ぼれをして、ビジネスとしての判断や投資としての観点を曇らせることにならないよう、“Is this a nice to have or must have?”(これはあると便利なものなのか、それとも絶対に必要なものなのか?)と問うことにしているというのは、大いに参考になる。

GoProは、プロのスノーボーダーやサーファーにとっては、それこそ「must have」の商品になったために、売れ始めた典型例と言えそうであるが、最近米国のベンチャーを見ているとこの「must have」の発見能力が非常に高いと感じているとの伊佐山さんの話は非常に興味深い。