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先月、在米ベンチャーキャピタリスト伊佐山元さんが述べていた中に、グーグルは、膨張し続けるインターネットの情報に秩序をもたらすことで我々に大きな知識のデータベースを提供してきたし、アップルのiPhoneは、携帯電話を単なる電話機からデジカメでもあり音楽プレーヤーでもありゲーム機でもあり小さな映画館にもなる個人の究極のエンターテイメント機器に変え、フェイスブックは、人生で出会った多くの友人、学友、そして疎遠になった親族等を発見し結びつけることを可能にした人脈データベースを提供するなどのイノベーションであるが、「既存のサービスや商品を改善しただけ」、もしくは、「組み合わせただけ」と揶揄する人も多い一方、実際に世の中を便利にして、身近な問題を解決する商品やサービスは、まさにこの組み合わせの妙による、イノベーションであることが多い、とあるのは的を得ていると思う。

スタンフォード大学のdesign school(通称d.school)というカリキュラムの中で、20分で与えられた材料を使ってできるだけ高い構造物を作りその上にマシュマロを乗せるという、シンプルな実験があり、参加者はいずれも高学歴で、ビジネスでも評価されている大企業幹部ばかり15チームのうち、9チームは完全な失敗、そもそも与えられた材料を立てて、マシュマロを乗せるだけで、30センチくらいにはなるはずなのに、高さ1センチの構造物すら立てることができなかったという結果を紹介している。

20分という与えられた時間で構造物を立てることが目標なので、まずはチームでのブレインストーム、続いて構造物の計画やプランを作成し、最後に作成を始め、20分ちょうどのタイミングで完璧な構造物が“立っている”という前提で物事をすすめることになるが、実はこの「ブレスト→計画→実行」という、多くの組織や企業が当たり前にように行っている直線的なアプローチ、思考方法が、何か新しいことを始めるという場面では非効率で役に立たないという。

この実験はスタンフォードの各学部生や、幼稚園児にも幅広く行われているらしく、結果は、建築学科の生徒が突出しているのは別にして、次に高い建造物を立てたのは子ども達であったというのは非常に興味深い。

平均して、幼稚園児はビジネススクールの生徒の2倍の高さと言う結果であるが、幼稚園児は実験が始まると、直ちに材料をつかみ、構造物を立て始め、ある程度の高さになり、倒れてしまうことが分かると、再度新しいデザインで立ててみる、そんなプロセスを20分間続け、制限時間が迫ると、一番上手くいった構造物を立てて、作業を終了という、トライ・アンド・エラー(試行錯誤)の繰り返しというプロセスであり、そこには、高尚な議論も、計画もなく、実行しながら考えるというスタイルになっているようだ。

グーグルは、全てのサービスに、「Forever Beta(いつまでもβ版)」というポリシーで、新サービスを次々と展開し、ユーザーの反応を見ながら改善を重ね、時にはサービスを廃止するというプロセスを当たり前にように行っているらしく、まさにこのアプローチを実践しているようであり、大変面白く参考になると思う。