
日本の製造業が今後目指すべき方向をどう考えるかについて、コストの点では、日本は中国に太刀打ちできないので、むしろ付加価値のある「ものづくり」を展開すべきとし、具体的には、高い技術力が必要とされる製品の試作、パイロットラインなどの構築に力を入れていくことが重要だろうとしているのは大変参考になると思う。
パイロットラインを構築できてから、1~2年が経過し、技術がこなれてきたときに、ノウハウも含めて海外の工場に売っていく、という仕組みが良いのではないかとし、大量生産そのもので勝負するというよりも、むしろ、開発のイノベーションを繰り返して推進していくことが有効だろうとしているのは、興味深い。
また、電子情報技術産業協会(JEITA)の電子部品部会長の村田製作所代表取締役社長の村田恒夫さんが、電子部品業界の動向と取り組みを説明した中で、付加価値の高い製品は国内で生産し、コスト競争が厳しいところは海外生産比率を高めて勝負し、世界的な存在感(シェア)を示し続けているという構図は、確かに、日本の製造業が進むべき姿を象徴していると言えるようである。
RIETI(独)経済産業研究所のBBL議事録を見ると、米大手ベンチャーキャピタルのDCM本社パートナーとしてITサービスやネットメディアの投資を担当している伊佐山元さんが、「新しいイノベーションとベンチャー創造のあり方」について提言している。
米国では、年間3兆円近い投資がベンチャーに対して行われているが、日本のベンチャー投資は年間1000億円程度で30倍近い差があり、先進国の中で日本はベンチャーへの投資が非常に小さい国だという。
さらに、米国ではエンジェル投資も年間2兆円程度行われており、3兆円のベンチャー投資と合わせ、年間5兆円の資金が流入していることになる。
最近、日本でエンジェル税制が導入されてはいるが、実質的に米国とは50倍の差があるのが実態であり、日本のベンチャーが、いかに大変な環境でグローバルベンチャーの市場で戦っているかが明らかだとしているのは、改めて非常に問題だと思う。
シリコンバレーでは、ビッグデータ、モバイル、ファイナンシャルテクノロジー、コンシューマーデバイスといった新領域で新たなベンチャーが生まれ、大手企業を脅かす存在になっているわけで、ますます差が大きくなる心配がある。
また、伊佐山さんが、ベンチャーに出資する投資家たちと話して感じている「ベンチャー企業のパラダイムシフト」について、特徴を5つ挙げているのが興味深い。
.戰鵐船磧璽ャピタルのグローバル化
シリコンバレーで地場的な特色の強かったベンチャーキャピタルが、インターネットの出現と普及によってグローバル化が急激に進み、さらに中国の資本主義化に伴って多くのベンチャーが生まれるチャンスが到来している。
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最近は、エンジェル投資家が連合して多額の資金を集めたり、一般市民が小額でベンチャー企業を支援できるクラウドファンディングといった仕組みができたり、インキュベーターの動きなども活発化している。
5業コストの劇的な低下
たとえばインターネット企業を設立するコストは、2000年には最低5億円必要だったのが、2010年になると、50万円で同じことができる時代になっている。
ぅ皀虜遒蠅ITの融合
アップルは、ハードウェアの製造からITプラットフォームを作ることによってIT産業を独占しているが、ソフトとハードをうまく融合したロールモデルといえる。
ゥ哀蹇璽丱襯廛薀奪肇侫ームの確立
ガラパゴス携帯のように、国内独自の規格でビジネスを展開できることに慣れてしまった日本企業も、今や世界の共通プラットフォームをベースにビジネスモデルが組み立てられる時代であることを理解した上で、モノやサービスを作る必要がある。