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RIETI(経済産業研究所)「発明者から見た2000年代初頭の日本のイノベーション過程:イノベーション力強化への課題」によると、日本の発明者の多くは発明時に研究競争を認識しており、「競合相手がいなかった」あるいは「分からない」とした者は合計で15%程度と少数であるが、競争者が存在する場合、最強の競争相手の所在地は6割のケースが国内としており、進歩性が高い発明ほど、研究開発時の競争相手は海外に存在するか、あるいは競争者がいなかったと認識されているとし、グローバル性、視野の点で問題があるようだ。

ビジネスの起業の観点では、米ハーバード大学経営大学院の上級講師、シカール・ゴーシュ氏が最近行った調査によれば、米国のVCによるベンチャー支援企業の約4分の3が投資家の資本を返済できていないのが現実という。

一般に、VC業界が提示している数字では、新興企業10社のうち完全に失敗するのは3~4社、10社中3~4社は投資元本を返済しており、1~2社は相当なリターンをもたらしており、ベンチャー支援企業のうち失敗しているのは25~35%とも言われている。

また、例えば、ダウ・ジョーンズ・ベンチャーソースによると、06~11年にVCによる出資を受けて起業した米企業全6613社のうち、現在非上場で独立経営の企業が84%、他社に買収されたか、上場している企業が11%、廃業した企業が4%、現在新規株式公開(IPO)の申請手続きの企業が1%弱あるという。

勿論、「失敗」の定義にもいろいろあり、全資産が清算され、投資家は資金を一切回収できないことを意味するのであれば、将来性の高い米新興企業のうち推計30~40%が失敗していることになるとゴーシュ氏はいい、予想どおりの投資収益を上げていない(特定の収益成長率を達成できていない、特定の期間にキャッシュフローを黒字化できていないなど)という意味であれば、同氏の調査からは95%以上の新興企業が失敗していることになり、現実は相当に厳しいことになる。

米ベンチャーキャピタリスト伊佐山元さんの意見では、多くの成功した起業家は、“razor focus” “hone in”といった言葉を多用、(Razorは剃刀、Honeは砥石という名詞だが)、両表現とも極度に集中する、フォーカスするという意味で、鋭い刃のようにある分野の技術、ビジネスに集中しているという。

次に、フォーカスした先に待っているのは、おのずとシンプルな商品やサービスであり、フォーカスで、徹底的にシンプルにした商品が世界一の会社を生むという。

さらに、純粋な技術力や製品の品質で勝負できた時代は、特許や職人の腕が勝ち負けの大きな要素を占めていたが、最近のベンチャーの商品やサービスの企画には、心理学や統計学、素材や色彩学の知識が不可欠になってきており、利用する人間の理解を深め、その感性に訴える勝負という、極めてアナログなセンスや能力が問われる時代になっているという。

勿論、当然ながら、最後はリーダーシップ次第ということになるが・・・。

これに関連し、デジタルガレージ共同創業者で米MIT Media Lab所長の伊藤穣一さんは、インタビューの中で、かつてハードウエアは、携帯型音楽プレーヤーにせよゲーム機にせよ、1社が開発した知財でほぼ完結できたが、パソコンの登場を機に、多くの企業の知財を組み合わせる手法が主流になり、将来は、協調の形態がもっとオープンになるだろうと話している。

また、イノベーションは、多様な人たちと一緒に製品を作る中で生まれるとし、日本にはハードウエアの職人はいても、「Foo Camp」(「Web 2.0」提唱者のTim O’Reilly氏が主催する完全招待制イベント)に行って議論できる技術者はいない、Foo Campでは米Intel社と米Motorola社の技術者がホワイトボードで「こうやろう、ああやろう」とアイデアを出し合ったり、Google社とAmazon.com社の検索ソフトウエア技術者がアルゴリズムについてガンガン議論したりしている、そうした場にいなければ、イノベーションは生まれないとしている。

言語能力の問題や、情報漏洩を恐れて技術者間の交流を規制する会社の方針、学校で理系/文系を分けるといった日本の体質が、こうしたコラボレーションを妨げる壁になっているというのは、かなり本質的な指摘ではないだろうか。