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日経新聞に3月から連載されていた高倉健さんのコラム「高倉健のダイレクトメッセージ」が先月で終わった。

毎月楽しみに読んでいたが、初回の「1枚の写真」は、気仙沼の被災地のがれきの中を歩く少年の姿で、
袖丈の余るジャンパーにピンク色の長靴をはき、給水所で水をもらった帰りらしく両手には一本ずつ焼酎の大型プラスチックボトルを握って、「負けない、絶対に負けない…」と言っているように口元がキリリと結ばれている。

イタリア在住の作家塩野七生さんが、現地の週刊誌に載っていたと紹介されたものらしく、健さんはその少年の写真を映画の台本の大きさ(B5版)にしてもらい、映画「あなたへ」の台本の裏表紙にその写真を貼りつけた時、熱情が胸の奥からほとばしったという。

映画「あなたへ」は早速観たが、亡くなった妻への思いやり、一種のロードムービーの形で、途中出会う人々との心の触れ合いなど、久しぶりに映画らしい映画を味わえたという満足感で満たされた。

健さんのコラムや、日本映画専門局に実に久しぶりに出演したインタビュー内容、さらに、野地秩嘉さんの「高倉健インタヴューズ」の中でのコメントに、老船頭を演じた大滝秀治さんの演技で、「久しぶりに、きれいな海ば見た」という短い台詞を、台本で読んだときは平凡すぎると感じていたが、大滝さんがこれを発したとき、心の目をパッチリと見開かされた、と何度も述懐しているのが、実に印象的である。

健さんの映画のうちでは、やはり、初期の「日本侠客伝」、「網走番外地」や「昭和残侠伝」より後、「八甲田山」、「幸福の黄色いハンカチ」、「野生の証明」、「遥かなる山の呼び声」、「駅STATION」、「居酒屋兆治」、「夜叉」、「あ・うん」、「鉄道員(ぽっぽや)」、さらに最新作「あなたへ」など、どちらかといと普通の人物像を深く描写、セリフが少なくても顔の表情、後姿、あるいは遠くからの姿だけでも、健さんでなくては有り得ない存在感を示したものが好きである。


健さんが好きで尊敬する俳優としてジャン・ギャバンをあげているのが、よく理解できる。