
結論は、世界市場で活躍中の「隠れたチャンピオン」、すなわち無名の中小企業にあるというものである。
ここで、隠れたチャンピオンというのは、世界市場において業種上位3位以内、またはその企業が位置している大陸のトップであり、収益は50億ドル以下、一般にはほとんど無名な企業を指している。
世界中で2746社の「隠れたチャンピオン」のうちドイツ企業が1307社、全体の47%を占め、このような企業だけで、ドイツの輸出の約4分の1を占めるという。
例えば、Delo社の接着剤は、ICカードの80%、iPhone等の携帯電話の50%に使用されているそうである。
同様に、水害・火災・暴風雨の災害復旧分野で世界的トップのBelfor社、セシウムやリチウムのような特殊金属の分野において世界トップのChemetall社、解剖学の補助教材部門で世界トップの3B Scientific社、医薬品業界向け梱包システムで世界最大手であるUhlmann社、犬用伸縮リードの製造で世界市場70%のシェアを誇るFlexi社ほか、多くの例があるようだ。
特に、日本企業がドイツの隠れたチャンピオン企業から学べる点、隠れたチャンピオン企業と大企業の相違点としてあげられている次の3点が参考になりそうである。
 ̄れたチャンピオンの目標は、「成長と市場制覇」であり、「極めて野心的な目標」を掲げている。
隠れたチャンピオン企業は、「自らの市場を狭く定め、バリューチェーンを深化」させる。
集中は市場を小さくするが、隠れたチャンピオン企業は「グローバリゼーションにより市場を拡大」する。
けれたチャンピオン企業の「研究開発活動の効果は、大手企業を5倍」上回る。
ケれたチャンピオン企業の最大の強みは技術にもまして、「顧客との近い距離」である。
Ρれたチャンピオン企業は「従業員の人数分以上の仕事」と高いパフォーマンスの文化をもつ。
Ц饗的には権威主義的であるが、「細部においては柔軟なリーダーシップ」を持つ。
日本との比較では、現状では日本の輸出額はドイツの半分で日本の隠れたチャンピオン企業の数はドイツの6分の1に過ぎないが、日本の中小企業の技術や製造分野での能力が不足しているわけではなく、グローバリゼーションの遅れが主要な原因としている。
具体的に、日本とドイツの隠れたチャンピオン企業には、はっきりした違いが見られるとして次の3点をあげている。
‘鐱椶留れたチャンピオン企業は海外に目を向けず、むしろオペレーション面や効率性に気をとられている。
企業文化、リーダーシップのスタイル、言語に関しては、依然としてかなり日本中心であり、ドイツの隠れたチャンピオン企業は、より多くの外国人を雇用し、責任を任わせている。
F鐱椶留れたチャンピオン企業は、かなりリスク回避的であり、この姿勢は、組織が新しいことを習得することを大きく妨げる。
日本の中小企業の多くは、隠れたグローバル・チャンピオン企業になるだけの社内的な能力と技術力を持ちあわせながら、ドイツの隠れたチャンピオン企業のように、精力的、迅速に国際化を進めていないため、潜在力を十分に活かせていない、この問題は、部分的に日本文化に根ざしており、また言語も含め、外国に対する消極性や、大企業への依存、起業家でなく従業員として働くことを好む傾向に特徴づけられる姿勢に起因するとしている。
これらの点は、私自身、中小企業やベンチャー企業と接点を持ってきた経験からも、よく理解でき、日本の潜在的な隠れたチャンピオン企業が、グローバルな脱皮を果たし成長していくことを是非目指していただきたいものと感じている。