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何事でもまずはイノベーションが必要だというのは、今や共通認識になっていると思う。

ただし、いかにこれを生み出していくかは、容易なことではない。

日本初のエアバッグを開発したホンダの元経営企画部長(現中央大学大学院 戦略経営研究科客員教授)の小林三郎氏は、次のように説いている。

そもそもイノベーションは未知の分野への挑戦であり、過去のデータがないので分析ができないことを意味するが、どこから始めればよいかすら分からず、結局、繰り返し徹底的に考え続けることにつきる。

課題を一つひとつ潰し、イノベーションを成功させるには熟慮を重ねるしかなく、ここで、課題を潰すための突破口になるのがコンセプトであるという。

コンセプトとは何か、それはSteve Jobs氏のやったことを考えてみればいいという。

コンセプトは「お客様の価値観に基づき、ユニークな視点で捉えたモノ事の本質」と定義でき、お客様が「ああ、これを買って良かった」と思う価値をユニークな視点で具体化しなければならず、突き詰めて考えれば、コンセプトとはモノ事の本質そのものだからとしている。

一方、野村総研(NRI)の最近のPublic Management Reviewに、下記の趣旨が論じられている。

日本の企業の約80%が、自社の新事業創出の現状に満足していないという調査結果があり、何がイノベーションを阻害しているのかの分析を行っている。

イノベーション創出のプロセス自体は、成功、不成功を問わず共通性が多いとされ、具体的にApple社の場合、Steve Jobs氏がイノベーションの推進役となり、トップダウン型のイノベーションプロセスが取られていると考えられがちであるが、実際にはJobs氏はイノベーションを創出する領域の設定とそれを推進するキャスティングだけを行っており、顧客価値を創造する課題の定義、コンセプトの創造、ビジネスモデルの構築は現場が主導している。

その意味で、Jobs氏はデザイナーともいうべき役割、存在と言えるだろう。

日本の多くの企業が、イノベーション創出人材のキャスティングに課題を抱えているとされるが、イノベーション創出を実現した人材を調べてみると、経営者の多くが重要と考えている「推進力」、「構想力」、「挑戦心」といった能力・素養とは異なり、経営者の回答では下位にある「利他精神」、「リスクテイク精神」、「捨てる力」、「質問力」、「観察力」、「試行錯誤力」、「他者活用力」の7項目が重要な素養として浮かび上がってきたというのは面白い。

ウォルター・アイザックソン著の「Steve Jobs」を読んでも、この辺りは気脈の通じるところがあり、的を得ているように思う。

いずれにしても、現在の停滞を打ち破るようなイノベーションが創出されるために、阻害要因となっているものを早々に取り払い、昔のソニーやホンダがベンチャーだった時代には確かに潤沢に存在していた筈の状況を作り出していきたいものと感じている。