関西電力大飯原発3、4号機の再稼働の件が迷走しているようだ。
電力需要がピークを迎える夏場までに十分な安全性を確保し、地元自治体の理解を得て再稼働にこぎ着け、電力危機を回避できるのか、不透明な状況にある。
自主的な節電目標では足りず、去年発動された強制力のある使用制限令にとどまらず、震災直後に実施された計画停電が必要となる可能性もあるし、家庭や企業は夏場の節電という苦労を強いられたり、ひいては生産の停滞や消費の冷え込みで経済が停滞する恐れもある。
冷泉彰彦さんが、コラム「危機管理ではリアルな訓練をもっと重視すべきではないのか?」の中で、次のような考え方を述べているのは参考になると思う。
「ストレステストがどうとか、暫定基準がどうとかいう机上の空論ばかりで、後は政治的駆け引きというのでは、社会的な安心感は確保できないように思います。
この問題に関しては、住民を巻き込んだ大規模な避難訓練をやってみたらいいのです。
全電源喪失を想定し、代替電源もダメで3号機も4号機も冷温停止に失敗して、お釜の底抜けと格納容器内の圧力上昇が危険な状態になったという想定から訓練をスタートするのです。
その際に、問題になったSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク)システムを実際に動かしつつ、北西風の強いタイミングで、水フィルターを通さない線量の高い蒸気を大気中に放出しなくてはならなくなったという事態を想定し、発電所と行政は一連の動作のシミュレーションを行うのです。
その場合は、住民の避難も行うべきです。
福島の教訓に従って、同心円と放射性物質飛散地域の二重の地図を描いて、その圏内の人々は例えば特養のお年寄りなども含めて避難訓練を行うのです。
日本の社会は福島での貴重な経験を持っているのです。
ですから、福島で起きたことをまず再現する訓練をすることで、大飯の場合の地理的な特性とか、コミュニケーションのシステムなどをチェックすることは、現実に危機に対応する人と組織を試すということで意味があると思います。」
「真剣に訓練を行えば、マイナーなものから大きなものまで、色々な問題点が出るでしょう。
そうした問題点を洗い出して一つ一つ潰して行くのです。
そして、それが経験知となってゆくのだと思います。
電力会社と地元が共同作業でそうした問題点を潰してゆくことで、再稼働が可能な状況を作っていけばいいのです。
安全確保というのは実践であり、政治ではないのです。」
このような手立てまで覚悟して取り組むことが、一見回り道のように見えても、解決への具体的かつ近道のように思える。
