10年後、20年後に振り返った時、2011年と2012年は、日本にとっての大きなTurning Pointになっているかもしれない。
大震災とその後の復興、日本という国の再構築がどうなるか。
総じて国民一人一人のレベルでは、これに真摯に対処しなければならないという気持ちがあるように感じる。
問題は、国全体として強いうねりになれるか、やはり政府のリーダーシップに帰するのではないだろうか。
ベストセラー「決断できない日本」の著者で、「沖縄はゆすりの名人」と発言し更迭された元米国務省日本部長ケビン・メア氏は、米国での講演で、
「次々と明らかになっていった原発事故の危機に、米政府の舞台裏は戦々恐々としていた。
当時の菅首相は責任を回避し、問題を東京電力に転嫁しようとしていた。
(私は)タスクフォースを率いながら『いったい、誰が日本をコントロールしているんだ』と何度も思った。
(日本)政府は何もしていない。
菅氏はヘリで視察に行き、邪魔をし、帰ってきた。
東京は結果的に危険な状況にはならなかったが、米政府は一時、首都圏に住む約10万人の米国人を避難させるべきかどうかも検討していた。」
「私たちがかつて持っていた1980年代の(日本の)イメージは、日本企業で何かもし不祥事が起きたら会長が切腹するんじゃないかと心配するといったものだった。
それが自分の犯したミスではなくても、彼は責任を取る、というイメージだ。
しかし、今の日本では逆さまになってしまった」
等、一寸辛辣ではあるが、今から思うとかなり的確に評している。
このリーダーシップに関して、宋文洲さんが、
「最近の日本社会ではなかなかリーダーが育たない。
その主な原因は多様性の欠如にあると多くの人が認識しています。
しかし、多様性の本質は他でもなく価値観の多様性であり、価値観の相違です。
リーダーシップとかTPPとか海外事業とか、日本の課題の多くはこの価値観への包容力の問題に過ぎません。
この議論は分かる人は多いですが、いざとなるとできないのが問題です。
同質を求め、多様性を嫌うことの本質はこの『自分達の価値観に慣れている』ことにあるのです。」
と論じているのは、尤もと思う。
東北の被災地の復興が成功への道を歩むことができるか、大型の第3次補正予算が有効に使われるかどうかがカギの1つになるのは間違いないだろう。
気仙広域(大船渡市、陸前高田市、住田町)の復興プロジェクトに主体的に参画している、東京大学宮田教授が、現在の国の施策と被災地域の活動を見ると、はっきり言ってこのままでは復興は成功しないと思うと、その理由やどうすべきかを論じているが、的を得ていると思われるだけに、やはり歯がゆい思いがする。
復興交付金に対して、被災地の市町村からたくさんの申請が上がってくるだろうが、このままではその申請の中身はほとんどがハコもの作りと土木建設的なものばかりになってしまいかねず、東北復興をゼネコンなどの建設ビジネスの場としてしまっては、日本は衰退への道を下って行きかねない様相にあるようだ。
「坂の上の雲」に描かれた明治時代の、日露戦争勝利、日本海海戦の成果の根底にあったのは、司令官、将校、兵士のすべてに共通する「戦う気持ち」だったとし、第2次世界大戦に敗けた後の復興の過程でも、同じように「戦う気持ち」が大きかったし、この気持ちは1970年代までは健全だったとする宮田さんの指摘はうなづける。
東北復興を“正しい”戦う場とすることができれば、復興が成功し、これが日本の新しい成長への引き金となるのは間違いないだろう。
今年2012年が、歴史を振り返っても、日本にとって大きなターニングポイントになってほしいと思う。
